Eno.206 リモネ  エピローグ - ひかりの森

「おばあちゃん、帰ってきたよ。」

『おかえりなさい、見事に試練を乗り切ったのね。
 レモンクリームパイは、お友達と一緒に食べられたかしら。』

「ううん…あのね、実は…」






―…修行のお陰で魔法の力は、無事に使いこなせるようになった。
けれど、レモンクリームパイを食べなければ魔法の力が回復しないのは、変わらなかった。
もっと早くに言ってくれれば、と、おばあちゃんは少し落ち込んでいたけれど
おばあちゃんが悪いんじゃないもの、これは私が背負っていくもの。


『孫が一人前の魔女になったというのに、なんだか素直に喜べないわ』

「ううん、平気。だって、いつか私にもおいしいって思えるレモンクリームパイを
 作ってくれるって約束した人がいるから。」

『じゃあ、荷ほどきしていないのは…
 修行が終わったから、その人のところへ行くの?』

「……うん。その人達のところへ行くよ!」


『…そう、行ってらっしゃい、気を付けてね。
 たまにはちゃんと帰ってきなさい。
 魔女の書を忘れないようにね。』



「もちろん、じゃあおばあちゃん、ありがとうね!!」



魔女の書にはもうすでに、いくつか名前が書かれている。
大好きな友達や、いっぱい手助けをしてくれた人の名前。


お菓子屋さんをすると決めた仲間と、大事な相棒の名前。



“今、会いに行くね!!!”









<< 戻る