Eno.33 半分屋のグレゴリー  3:angelric - まぼろしの森林



天使だなんて思った事はありません。
悪魔だって思った事もありません。

人間だと思った事も、ありませんでした。



じゃあ、自分は何なのか。
教えてくれる両親はそこにおりませんでした。

  小さな隣人の噂話。目には見えず聞こえない話。
  悪戯好きな彼等の笑えない悪戯の事。
  知る日は少なくとも、今じゃない。


人間になりたいか、なんて冗談じゃありません!
グレゴリーを迫害して、閉じ込めて、笑って、蔑んで。
その癖その力ばかりは欲しくて、頼って、泣き縋って。
何度仕返ししたってきっと、満足なんてしないでしょう。

しかし怒り続けられる程、この心も強くない。

弱い。弱い弱い弱い。これは酷く弱い。
愛し方も知らないという事は、憎み方も知らないという事。
人間にもなりきれないのに、人間以外にもなりきれなくて。
1にも0にもならなくて。

いつも半分で。

何かどちらかになりたくて。










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