Eno.244 魔法少女トーカ  桐の花の見た夢 - ほしふる洞窟

駆けだして飛んできた先ははじめまりの地ではなく、綺麗な星空の降る洞窟。

変わらず幻想的な世界の中は夢のようで
夢から覚める直前としては文句なしだろう


「さぁ、くーるさん。桐栞たちは家に帰らなきゃ」


りんご
「ドラ~!」



「ごめんね……ランドラちゃんは連れて帰ってあげられないんだ」


桐栞たちの世界──神秘は空想とされ、化学によって世界の理屈が解明される世界。
私たちは角も、羽根も、魔法も持たない。

たとえ今だけは魔法少女の夢を見る少女でも、コスチュームを脱げはそんな世界の一人で。
そしていつかはそんな夢とすら決別する運命で。

でも、楽しかった夢に元気を貰えることだってあるはずでしょ?

いつか見たドラマのように、大好きな物語のように、今日の夢が私を作るなにかになると信じて。


「まずは帰ったら、家出したことを謝らないと。」


困ったように、でも晴れやかに笑って。

さぁ、日常に帰りましょう。




ここで得た荷物は全てシェルへとしまい。
そのシェルは赤いランドラに託して。


「さようなら。また、どこかで会いましょう


白い生き物を手に載せた少女はこの世界から旅立っていった。








<< 戻る