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Eno.322 恋路 六六 【記録】箱舟の青空教室⑦ - せせらぎの河原
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クルフィ
「えぇと……」
「えぇと……」
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ラクヤス
「はい」
「はい」
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クルフィ
「そのわりに ここに、複製体……いない ですね?」
「そのわりに ここに、複製体……いない ですね?」
少女の言葉に、教師風の男は腕を組んで『うぅん』と唸った。
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ラクヤス
「天龍の方の龍は、命を繋いで繁栄する種族ではありませんから、
私たちの保護対象からは少し外れるんですが……、
そうですね、クルフィ。
今、あなたの考えている通り……その個体は死を免れました」
「天龍の方の龍は、命を繋いで繁栄する種族ではありませんから、
私たちの保護対象からは少し外れるんですが……、
そうですね、クルフィ。
今、あなたの考えている通り……その個体は死を免れました」
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クルフィ
「どうして?」
「どうして?」
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ラクヤス
「龍殻が発現しかかっているのを察して、
うまく身体から分離した者がいたようです。
なかなかの荒業だったと思いますが……死ぬよりはずっと良いでしょう」
「龍殻が発現しかかっているのを察して、
うまく身体から分離した者がいたようです。
なかなかの荒業だったと思いますが……死ぬよりはずっと良いでしょう」
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クルフィ
「わぁ」
「わぁ」
少女が驚きだか畏怖だか分からない声を上げた時、
教師風の男は、ぱたりと図鑑を閉じた。
見上げると、木々の間から漏れる日が、紅く染まり始めている。
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ラクヤス
「今日はここまでにしましょうか。
帰りましょう、クルフィ」
「今日はここまでにしましょうか。
帰りましょう、クルフィ」
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クルフィ
「はい」
「はい」
頷いた少女は、男の後について草原を歩き出す。
涼やかな風はぽつんと残された机を撫で、
箱庭の夜は静かに更けていった──