Eno.169 世界を彩る華麗な仙境の娘  13.ガーベラ - あざやかな花園

いろは
「…………せーくん、なんてお返事くれるかな」


手紙を送ってお茶でも飲んで、一息。
すると、スカートの腰飾りが淡くひかり、手元には手紙が出現。

いろは
「……これは、せーくんの仙力ね。味わったことあるし、わかる。
 でも早いわね暇なのかしら〜?」


さらっとひどいことをいいつつも、
さっそく届いた手紙を開封する……



『花神』彩華仙娘 様

わざわざ任務中に、お手紙いただきまして、ありがとうございました。
天上界では、あなたさまが発った後、約2時間しか経過していません、

昨日は一つ結婚式が潰れて大騒ぎになっていましたが、
今日は特に事件が起こることはなく、平和に過ごせそうです。
というよりも、あなたからお手紙を受け取るまでは、平和でした。

なんですか、あのふざけたお手紙は。
そして、その”せーくん”って呼ぶのをやめなさいといったでしょう。
その呼び方を続けるなら、僕からは、『げんくん』と呼びます。

というわけで、げんくん。
あ、今、すごい嫌そうな顔しているでしょう?
あなたさまが僕のことをよく知っているように、
僕もあなたさまのことをよ~く知っていますので。



いろは
「…………」

いろは
「その名前で呼ぶのやめて欲しいのに~!せーくんの意地悪!
 いやそれより続き続き……」




さて、お察しのように、あなたさまの行動を少し見ている時がありました。
もちろん会話までは聞けませんが、
お友達ができて、楽しそうにしていたり、
いろいろな人に抱きついていたり、寝ていたり……
いや、そんなのばっかりだったかもしれませんね。

不浄による影響もうけていたことも全部わかりつつも、
特に助けようとも思っていませんでした。
あなたのことを助けてくれそうな人は、周囲にたくさんいたみたいですし。
のちに恋人になってくれた彼だけではなく、
調子が悪い時に、隣で寄り添ってくれたお友達もいたようですので。
それは、あなたさまの人懐っこいかつ優しい性格のおかげかと思います。


そして、あなたさまの恋人の件ですが、よかったです。
一番の人ができて。そして一番にしてもらえて。

前の僕からのカウントをしても、何年経過しているのか忘れるくらい
長い付き合いのある、あなたさまの、そういった幸せそうな話を聞くことができて、
とても嬉しく思います。

余談ではありますが、
あなたさまたちの様子を見て、すこしだけ、僕自身の"あなたさま"のことを考えました。
話したことがあるかどうかは忘れましたが、彼の人もきれいな金色の髪でしたので。

そんな僕から、一つだけ忠告します。
あなたさまが分かっているように、好きになった人が同族ではないことだけではなく
場合によって……天命によっては以前の僕と同じようなことが起こる可能性があると思います。
ですので、後悔をしないように過ごしてください。僕が願うのはそれだけです。


さて、ここからは、上司としての"私"としてお話しします。


あなたさまがきちんと認識しているように、
私は、あなたさま、『花神』***君の上司にあたります。

仕事に関しては基本的にはしっかりしているのを見ていたのと、
『花神』はあなた以外にも育成すべきではありますので、
1年くらいの休暇くらい快く受理させていただこうとはおもいます。

ただ、何もせずというのは私の上司の許可が取れない可能性があります。
そのため引き続き、昨日結婚式から逃げだした、
táo lǐ niáng niáng桃李娘娘を追う任務の遂行をお願いします。

あなたも分かっているように、もしかしたら、もう。の可能性はありますが、
その島より下界は広がっていると思いますので、
どこかに行きながらも探してみてください。

そして、よかったです。ちゃんと相談をいただいて。
私があなたを追わなきゃいけなくならなくて、あなたを始末するのは嫌ですので。

あとこれは個人的なお願いですが、そこにしか咲かない花の種とかお花、
あと何か面白いものがあれば送っていただけないでしょうか。

どうやら、あなたほどの『花神』でも、お話しができなかったとのことなので
私がきちんと育てられるかどうかはわかりませんが。


また、私は下界経験者で、知識もあるので時間を見つけてあなたさまたちのところに行くかもしれません。
逆に、彼の人をつれて、たまに帰ってくるとかでもいいんじゃないでしょうか。
その際、よろしければ、ご挨拶させてください。

これ以上距離が離れると視えなくなるかもしれませんが。
それではお元気で。仲良く幸せに暮らしてください。


『**』***星君 より




いろは
「……
 せーくん…………ありがとう……」

いろは
「……よかった~…………本当に……嬉しい……」

いろは
「でも、泣いてる場合じゃないわ。報告すべき人には報告しないと。」




いろは
「というか、そういえば、ももかは……どうしようかな~……
 何が起こるかわからないから、一緒に連れて行くわけには……」


ももか
「ドララ~」


いろは
「…………」

いろは
「……いいこと思いついちゃった~!」


ももか
「ドラ~?」









<< 戻る