Eno.113 メリジェ  河と頂と雨と虹と、そよ風と - まぼろしの森林

 
「ふたつの笛の話」


エルフのお母さんは、仕事で時々笛を吹くんだよお。
それは、森で狩りをするときの合図だったり、音楽の演奏としてだったり。
縦笛、横笛、ホイッスルとか、色んな笛を持っていてねえ。
メリジェもなにかやる?って言われて渡されたのが、オカリナだったあ。

でも何を吹いてもなんだかのどか〜になっちゃって、エルフ神秘的旋律が、
小さなヒューマンの村になってるねえ〜みたいによく言われたものだよお。
まあ、結構、自分のオカリナの音……嫌いじゃないんだけどねえ。

ソラニワにも、持ってきてたよお!
自然の中で、ぴぺぴぺ吹くのは、楽しくってえ。
誰かと一緒に演奏するのも、すっごく楽しくってえ!
その誰かのお話だよお。

最初は、河原で。
どこからか、水のぽちゃんって音と、
それに合わせてぶぉんっていう不思議な音が聞こえてきて。
それが水音に合わせて演奏してるってわかって、
つい、オカリナを吹いちゃったら、楽しくなっちゃってえ。
終わった後、拍手も聞こえてきたんだあ。
あたしにだけじゃないにしても、ちょっと照れくさかったあ。

次は、頂で。
とっても景色がいいから、オカリナの練習でもしよお〜って思って吹いてたら、
どこかからまたあの音が聞こえてきてえ。
挨拶をしたいなって思ってたんだけど、セッションが楽しすぎてえ、
笛を吹くのに全力になりすぎてえ……。つまり、体力が尽きちゃって。
結局、その日は会えずじまいだったのお。

でもね、最後に、雨の日の『そよかぜの丘』で!
や〜〜〜っとね、お会いできましたあ。
初めて会った、不思議な大きな笛の奏者さんのお名前は、フクロエルフのキァラウィさん。
お耳が尖ってて、色味は違うけど同じ金髪で、とっても親近感!



いっぱいいっぱいお話をしたかったけど、それ以上に。
いっぱいいっぱい、音楽で語り合いたかったから。
たくさんたくさん笛を吹いて、最高の思い出を作ったよお!

ここで出会えたひとたちはみんな、色々に見た目も育ちも考えも違って。
それがとっても素敵なんだけどお、その中で同じだったり、似ていたり。
例えば、一緒に演奏できたり! することも、とってもとっても素敵だねえ!








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