Eno.405 逆さの魔女マサカマ  【終話】逆さの魔法 - くらやみの森

マサカマ
「まあ色々あったことだし……折角だ。
 わかんない相手に教えながらの方が身につくとも言うでしょ」

マサカマ
「ちょっとばかし長い話になるけど、復習付き合ってよ
 結構真面目に学生やってるんだよこれでも」

マサカマ
「……
 課題からの現実逃避ってわけじゃないから……!!」




 の世界の魔法は、大まかに3種類程度に分けられる。
 魔法分類学的にはもう少し細かな区分があり、これらは3年で学ぶので、2年生の私にはまだ早い。
 私が前世から追い求めていた『逆さの魔法』がどの分類なのか、その話をしちゃおう。
 今は……怒られるから使えないんだけどさ。

 1つ目は物理魔法
 魔法なのに物理とは?となると思う、けれどこれで合ってるんだから仕方ない。
 炎を出す、水を出す、空気を出す、なんかの物理的現象に近い魔法がこれ。
 直感的で強い魔法だね、わかりやすい。

 2つ目は精神魔法
 これは最初の方のがわかるなら言葉だけでわかると思う。
 眠らせる、魅了する、守りを弱める、なんかの精神的現象を操る魔法がこれ。
 いわゆるデバフ系だね、当たるとめんどくさい奴は大体これ。
 って言ったら先生に怒られたから今のはナシ……ヒミツねヒミツ。

 3つ目は概念魔法
 これは複合的な感じもするんだけど、明確に分けられてるらしい。
 物理的作用も、精神的作用もある魔法。
 例えば、"熱"を操る魔法。
 これは温度を上げるとも、心を熱狂させるとも、どちらの動きもする魔法。
 出来ることの幅が大きすぎるから大抵は国で一時禁止の処分を取られてるんだ。



マサカマ
「大体こんなもんかな……
 逆さの魔法は3つ目にあたるらしいよ」

マサカマ
「生死を逆転させるとも、星の巡りを逆転させるとも、
 逆さにすることなら大抵は出来ちゃうらしい」

マサカマ
「ヤバい魔法だったらしいね……私の魔法は……
 あ、でもそんな途方もないの想像もつかないから理論上可能ってだけだよ」


 遠い目をして、魔女はそう締めくくった。
 元居た世界では、この魔法はもっと特別で、個性的で、自分だけのものに見えていた。
 けれど、時代の進んだ先ではなんてことはない、体系化された魔法のごく一部なのだ。
 それがなんだか、寂しいようで嬉しかった。
 自分だけのものは、誰とも共有が出来ないものでもあったから。

マサカマ
「そうそう。こっちじゃわかんなくなるしマサカマって名乗ってるけど。
 名前も変えたんだ。今度は心臓無くさないように」

サカサ
「『のサカサです』
 元の名前の真ん中がサカサ、同じとこ抜いたら転生
 転生してきたからちょっと言いたくて……ふふ……この洒落上手くない?」









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