Eno.446 ペテン  俺が冒険者になるまで(再) - ひかりの森

せっかくだから俺が冒険者になるまでの経緯を語っておこうと思う。


ペテン
「はぁ……結局俺からやめちまったなぁ……」

ペテン
「また俺の悪評が広まっちまった……厨房で料理するだけなら顔を見せることも殆どないし、いけると思ったんだけどな……」

ペテン
「そろそろこの街を離れるべきなのかもな……俺を見るなりあいつってこないだの……って避けられるし……」

ペテン
……俺、何もしてないのにな…………



オクエット
「すまぬ、この荷物の配達先を探しておるのだが……」

ペテン
うぉう!? えっ、お、俺に!? 場所を聞かれてる!?

オクエット
「? あぁそうだが……何か不都合があったか?」

ペテン
「いや、そういうわけじゃなくって……ええと、これは……真っすぐ行ったとこに黄金の果実亭っていう宿があって、右手の突き当りの家だ」

オクエット
「なるほど、そちらであったか。恩に着るぞ、親切な者よ」

ペテン
「あぁ、いや、どういたしまして……」



ペテン
「……なぁ、君、名前は? もしかして、冒険者?」」

オクエット
「余か? 余はオクエットだ。
 リューンの運命の天啓亭を拠点としておるアルカーナムの一人だ」



感謝しておるぞ、と手をぶんぶんと振って駆け足で宿に……行くかと思いきや、先に仲間の合流を急いだ。
長身の男性と何やら会話をして、2人は教えた通りの家へと向かい始める。仲はよさそうに感じた。凄いな、あんなに年齢差があるのにあの子供はその人に堂々としている。冒険者は年功序列がない……ってこと!?


ペテン
「…………冒険者」



冒険者なら、この顔だったとしてもやっていけるんじゃないか?
あの子供は俺を怖がらなかった。俺の顔を見て怖がらない子供なんて居ないと思っていた。




―― これが、俺の運命の天啓なのかもしれない



そうして無事にアルカーナムに加入したが、そこそこびっくりされるしオクエット以外の子供には泣かれるしついでにトリサにも泣かれる。
別に冒険者が俺を怖がらないなんてことは全くなかった。そんな都合のいい話は幻想だったし天啓でもなんでもなかった。

俺の冒険者になる経緯の話!! 終わり!!
完!!!!








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