Eno.472 ふるる  後日談~そして再びあの場所へ~ - せせらぎの河原

ふるるが行方不明になったその後。
ふるるの家出に付き合わされた一行は国へ帰った。

騎士は、自分の責任だと投獄を申し出た。
ここで、自分を罰さないと国王であるセイクレッドの治世に、国民が疑問視するかもしれない。
姫であるクラウソラスが国を捨てた姫だと思われるかもしれない。
騎士は守りたかった、だから、すべて自分の罪だと、罰はすべて自分にと。
だが、王は投獄をしなかった。
投獄ではなく、幽閉という形をとった。
責任は騎士にあるわけではないのはわかっていたけれど。
騎士の気持ちを無視したくなかったから。

「リコ、ふるるは必ず帰ってきます。
その時は、迎えに行ってあげてくれますか?
私もドニゲルキ様も、ここを動く事は出来ません。
リコは私の弟で、一番信頼できる人です。
あの子達が生まれて、ずっと一緒に守ってくれた人です。
だから、リコ。
姉の我儘を聞いてください」

兄は旅に出ようと思った。
妹の見た世界、守りたいと願った世界をその目で見ようと。
大人になるまで、両親の許可が出るまで沢山勉強して。
苦手だった剣術も、魔法も勉強して。
力がないから守れなかった、そんな悲しいことにならないように。
自分の出来る事、したい事、やらないといけない事、全部全部。
あの日、自分と違う世界の竜に教えられたように。
まず何をしたいか、何をするべきか。
今度こそ、妹が一人で抱え込まないように。
いつか、妹を迎えに行って、また一緒に笑えるように。

……あの泣き虫だった兄が【英雄】と呼ばれるようになるのは、また別のお話。

親友は神おろしの儀を決意した。
相手が誰であろうと、大切な親友を取り返すために。
幼い頃から、神おろしの儀とはと教えられ、それは過酷なのもだと母親から言われていたが。
それでも、それでも力を求めた。
もう泣かせたくないから、もう何も言わないで一人で背負わせたくないから。
どんな相手だろうと、守って見せる取り返して見せる。
生きているならば、それが可能なら。
力がないを言い訳にしたくないから。

……それから、二人の大好きな生クリームのケーキも沢山練習しよう。
ふるるが帰ってきたら、お手製のケーキでみんなと笑ってお茶会をしよう。


これは続く物語。
再び紡がれるその時まで……。

(Eno361 リコ様 Eno362 ストラ様 Eno547 風月様 Special Thanks!!)








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