Eno.169 世界を彩る華麗な仙境の娘  11.フジ - あざやかな花園

*クリスマスより少し前の話

ヴァーディクトさんとお付き合いすることになった。
こうやって出来事を認めている間も実感がわかないというか、
どこか他人事になっちゃうというか~……

一人でいるときに、こうやって考えていても、
なんで、わたしを一番にしてくれたんだろう?って何回も思っちゃう。
男の人とは初めてとはいえ、誰とも付き合ったことがないわけじゃないんだけど、
そこにすごく想いはあったか?と言われるとそうじゃないというか……

まぁ、天女とか仙女だとそういうもんよね。特に仙女同士。
何年たってもお互い生きてるし、基本は今生の別れとかないし。
1か月くらい会わなくても何も気にしないし。

付き合っても相手に執着することもなく、自由奔放。
気が欲しいときには分けてもらう。
誰かと真面目に付き合ったかというと、そうではなかったかも……

***

というわけで、ヴァーディクトさんとどこか行くことになったけど、
許可取りができるかどうかちょっと心配。
もぎとるけど。せーくんとは戦うけど。贈り物大作戦するけど。

せーくんからこのまま逃げたら、私も追ってるあの子と同じ目にあう。
だから、ちゃんと話し合って、休暇をもらわないと。
ここでの成果とお手紙を書くわ。

天上界の1日は下界の1年。
だから、ここを出て天上界に帰ったら、もう誰にも会えず終わるのかな
と、思ってたし。
別れなんて何回も経験してたし、誰とも会えなくなっても
それでもよかったはずなのに……

いろは
「……最初は、情なんてわかないなんて言ってたのにな~」

いろは
「でも、"情"は……残してもいい感情なの、かも~?」


別れが悲しいから、慣れという言葉で全部片づけて
なかったことにしていたのかもしれない。

わたしも、普通の人間にたくさん触れて、感化されて、
ただの天女だった頃みたいな心を取り戻せたような、気がするわ。

そして、こうなって、ふと気付いたけど、
ヒトを好きになって許可を取って……下界にいって、100日程度で帰ってきて
そのまま転生した彼女たちも同じ気持ちを抱えていたのかもって。












しりたかった『てんにょいがいのあじ』をしりました ※ご注意

自業自得の部分が多いから反省しないといけないけど
日に日にどんどん力が無くなって、自然から吸収するエネルギーでも足りなくなって。
ずっと泣いてたから、目の花も消えちゃって。

できれば自分で解決するべきことだし、
本当はこんなことをするのはよくなかったとは思っているけど、

ずっと遠慮してたけど
ヴァーディクトさんの言葉に甘えて、
気を貰いました。







本人にも伝えたけど、とっても美味しかった。いままでで一番。
あと、天女仙女とは何回もしないと全快にはならなかったのに。一回で全快になった。
それをそのまま伝えちゃったの、今思うとちょっと恥ずかしいわ。

もちろん、別に天女と仙女がおいしくないわけじゃないんだけどね。
もともと、女同士だと陰と陰だからというのもあり、
そこまで回復はしないというのは知ってたうえで、してきたわけだけど……

ヴァーディクトさんは、綿菓子のような甘い味がしたような気がする。
そんなに違う?とちょっとびっくりした。

男の人だから?天上人ではなく異種族だから?
それとも、好きな人だから?理由はどれかわからないし、全部なのかもしれないけど。

ここに来た時には、緊急回復の意味でもなく、恋とかそういう心でもなく
ただ、どんな味がするんだろう、って思ってただけで
ほんとうに正直に言うと、誰でも良かったはずなのに。

徐々に、するならあなたがいいなに変わって、
いまは、あなたとしかしたくないの。


彼の考えが変わったように、
自分の思考がが少しずつ変わったように感じる。
変なの。

ずっと生きてきてこんなことなかったから
変っておもうけど、いやではないわ。
むしろ嬉しいかも。でもやっぱり、変なの。ふふ。








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