Eno.322 恋路 六六  【記録】幕間:ロクット1号設計中に - せせらぎの河原


「ふぅ~!
 材料はこんな感じですかね」


設計図を元に木材や留め金を運び込んで、
積み上げた一山を前に額をぬぐう。


「後は燃料……。
 火薬は当日キョクさんに分けてもらうとして……」


それは少しの間顎に手をやって、
床に自身の鱗を並べ始める。


「……あれ?」


首を傾げて、もう一度。


「やっぱり……生え換わってない?」


この地を訪れて、
鱗を損耗し始めてからもうじき一か月になる。
普通なら、全部まとめて生え換わっていてもおかしくない時間だ。

しかし、並べた鱗の数は、
この地で減りこそすれど、増えた様子はない。


「慣れない土地に来たからでしょうか……」


幸い発射に必要な量は残っている。

それは最後にもう一度鱗を数え直すと、
設計図の脇にメモして床に就いた。


夢の中では何処までも青い空が広がっていた。








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