Eno.607 茶磨  煙の思い出 - ひみつの庭

手のひらの四角に火が灯っていました

カチン、と閉めると消えてしまいました

細くてゆらゆらした煙がのぼっていました

鼻先で触れると消えてしまいました





消えた火はどこへいったのでしょう

消えた煙はどこへいったのでしょう

確かにあったのに

さっきまでそこにあったのにふしぎです。


けれど

手のひらにおさまる火も

空気に混ざっていなくなった紫煙も

消えないよう覚えておきたいと、

ちゃまは思いました








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