Eno.132 戻れずのレイン  終翼 - はじまりの場所

*双子の地球では幸福の意味が違う*

*この世界が*
*どんなものであれ*
*俺は二割の問題希死念慮を克服できない*


レイン
「悪い事をしたからだ、毎日毎時毎分毎秒逃げなければいけないという気持ちに駆られる」


*惰性では生きられない*
*どこかに消えてしまいたい*
*頭の中の神様から解放されたいのと*
*見放されたくないのと*
*相棒への愛憎と*


レイン
「もう店はやらないと思う、もういいんだ」


*店を持つのが夢だった*
*マッドドーム、泥の天井で作られた雨と雪で倒壊する土塊は*
*確かに俺に短い夢をみせ、そしてそれが他ならぬ俺の心で泥をつける*
*俺がおかしいのか?変なんだろうか。とっくの昔から?*
*確かにこれは*
*俺がどこに逃げても付き纏うもの、なんだろう*
*ぐちゃぐちゃな憤りと嫉妬と死への望みは、料理人として包丁を握るにはあまりにも雑念だ*


レイン
「異世界に逃げても?ここに住んでも?あんなに楽しかったのに、心がふたつあるみたいだ」


なら行く先なんか決まっているようなもので*
*幸福になれと
忘れてくれと
友達だよって
嬉しかった
好きだよと言われて返す言葉もなく
しかしひねた思考では
もう


ならもうこのまま

*割れた卵からハエが飛び出す音がする*


────大して長くもない明日を待つ為、トラックに載ってまた逃げるのだ。








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