Eno.499 平城山 王護  ばくのきおく - ひみつの庭

どうして寂しい方に進んでいくのか俺には分からない。
俺は賑やかな方が好きなんだ、その方が楽しいだろう。
俺は苦いのが好きなんだ、そういう思い出や夢を飲み込まなくちゃいけないから。
俺は自分のことはどうでもいいんだ、それで目の前の誰かが笑ってくれるなら。
俺は自分の足で進んでいく誰かを見送りたいんだ、俺のことを置いて行ってくれるなら。











本当は穏やかな方が好きだ、誰かと静かな時間を過ごしたい。
本当は甘い方が好きだ、トラウマ苦い味をずっと腹に抱えるのは嫌だ。
本当は誰かに俺を見てほしいんだ、一緒に笑っていたいから。
本当は置いて行かないでほしいんだ、寂しいのは辛いから。
どうしたって俺は自分で寂しい方に進んでいく。
寂しいのは嫌いなくせに、どうしたってそっちへ行ってしまう。




こんなに長く生きているのに、





それいがいのいきかたはしらないずっとこうやっていきてきた









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