Eno.676 ✿ #006 箱の中 - はじまりの場所
譲り受けた札を何度も指先でなぞって、気を紛らわせてやり過ごした。
こんなにも弱い
モノにもよるのだろうけど少なくともこの
万が一を考えて力は使わないけれどきっと、何もかもを亡くす力など私の中にはもう無いのだと思う。
断言はできない。ここには全てがあるから。
いつもの場所に座っていたら、お祭り会場まで連れ出された。…連れ出してもらった。わかっているとも自分のことは。
ともだちと 悪い気はしなかった。当然だろ。
花火 綺 お店巡り楽しかったな。 辛 │ 辛 真綿が首に巻き付く感覚がした。 何 な
麗だったな。 │ にのいなけいゃきなら帰に所場い無も のに
おわりなんてなければいいのに │ 何も無い場所に帰らなきゃいけないの に 何してる?
│ 真綿で首を絞める。 当然だろ?
│ 斜に構えることも目を伏せることも全てが全て自己防衛
│ 何も無くても私は確かに存在して、他は何も無いだけだ
│ 過ぎた願いだとわかっているけど、ただ箱に詰め込んで
│ いつか連れ出される日の夢を見て、今は箱に鍵をかける
│ この鍵が外れて箱が開く日なんて無いと断言できるけど
│ それでもここには全てがあるからと慰めを私にください
おわりなんてなければいいのに │ きっとまたここで再会しようなんて慰みを私にください
│
│ 嘘で塗り固めていいの
│
│
楽しかったな… │ 嘘だってわかってるから