Eno.125 食■世界オブスキュラ  最高級の、 - めざめの平原

オブスキュラに伝わる瞳の色の話。

この世に生を受けた者は全て神様から偉大な力の一部を分け与えられているという。
力とは言うが実際に力を持っているわけではなくあくまでも事象、万物を力と定義している。

赤い瞳は火を司る神様から、緑の瞳は自然を司る神様から、茶の瞳は大地を司る神様から。
あらゆる色は神様からの贈り物だと定義される中、とりわけ特別な意味を持つのが青い瞳だ。

青い瞳を持つ者は圧倒的に少なく、その瞳にはオブスキュラから失われた海が宿っていると伝えられた。
遥か昔、海があった頃。神様は広大な海の一部を少しずつ分け与え、青い瞳を持つ者は海の神様のように慈愛に溢れる者になったという。
青い瞳を持つ者はいつか海を取り戻すため、時が来るその時まで青い瞳を大事に守りましょうと教えられることとなる。
古くから伝わる言い伝えのせいか、海を特別視する者は少なくない。

オブスキュラに海が無くなった理由は一説によると『クジラの涙が枯れてしまったから』だという。


というのは食肉の価値を高める為に国が作ったフィクション嘘っぱちである。
パペットたちは素直に言い伝えを信じているが、パペット以外は単に青目が珍しいから高価だという認識だ。
そもそもオブスキュラに海が存在していたかも怪しい。








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