Eno.692 No-692  ねぐらとこーひー - はじまりの場所

シェルから呼び出せる人が見かける人よりどう考えても多い
人が集まるところでも見ればわかる、特徴的を持った人も少なくないはずなのに見かけない

その答えはある日の探索を終えて知った
ある程度安全な場所は横だけでなく縦にも建材を積んでより多くの人が過ごせるようになっているようだ

地続きのところは人の往来やくつろぐ人間が多く、少し声が多いとも思っていた
だから探索の延長、そんな気持ちで見つけた通路を進んでみた

いくつか分かれている……部屋というんだろうか
ひとつを覗いて、別のところに行って
そうしていたら、みつけたところ
奥からは何かわからないけど甘ったるい、体に良くなさそうな感じがする場所
はじめてのはずなのになんだかとても懐かしい
自分の"業"を知ることも、名前をもらうことも、自分でつけるための言葉も知らなかった
自分が「目覚めた」場所、に

だから、じゃないけれど
外にいないときはそこにいることにした
色んなにおいがしみこんた床
土より冷たいのに、硬いのに、よく眠れている……気がする

*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.:*

初めての香りがして目を覚ました
窓に近い机にいる緑の髪の人の方からする
外からの風に乗って自分のところまで届いたのかも
『知る』ことが生きるために必要だと知っていたので、そのにおいを知りたいと思った
男の人は追い返したりしないで『コーヒー』を飲んでいると教えてくれた
そういう名前の物を探索で見つけていたけれど、全然似ていない
尋ねてみたら、この豆はいくつかの加工をして飲み物にするとこうなるそうだ
実際に豆を砕くところから見せてくれた
道具に入れてハンドルを回すと硬いものが粉になるのはすごかった
それから
 ……



 曲がりくねった線の
 次のページまで赤子の殴り書きのようなものが続いている
 小さな手帳の上で鉛筆を抱えてランドラが眠っている

"識っている言語"で書き留めていたひとがたもその横で丸くなって寝息を立てている。








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