Eno.238 近藤エミヤ  前日譚 - ひかりの森

エミヤ
「よう社長、ちょっくら現地調査に行こうぜ!
 分類でいうとオールドミスティックの世界だ」


そんなふうに、エミヤが勘徹へと連絡を取ったのが始まりだった。
彼ら二人はそれぞれ、近藤工務店の社長・近藤笑也と、秋山製鉄所の社長・秋山勘徹(No.53)として勤める一方、ダーザインと呼ばれる互助組織に所属する隊長同士である。

本来ならば部隊を率いて世界を股に掛け、問題に立ち向かうのが手順だが、今回は新しく見つかった世界ということで、エミヤは独自に現地調査を行うことにしたのだ。

そもそも連絡を取ったきっかけは、エミヤのもとに届いた一通の招待状。
記載されていた内容によると、そこはとても豊かな自然が広がり、疲れを癒すのにぴったりな場所らしい。

ならば事前調査と称して、ゆっくり羽根でも伸ばしに行こうか。
そんなふうに考えたエミヤは、現地調査を言い訳に、懇意にしている秋山勘徹を連れ出すに至ったのである。

……とはいっても、特にいつもの装備一式は持ち合わせていない。
ダーザインからの正式な依頼でない以上、武器を含めた「兵器」は異世界へ持ち込むことはいろいろ問題があるからだ。

そんな二人がたどり着いたこの異世界の「庭園」で、果たして何が待ち受けているのだろうか―――……。








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