Eno.305 クロタネ  にっき - ひかりの森

「ろたは、どこにかえるんだ?」

そう、きかれたとき、オレは、「また、行く当てなくて、ふらふらするのかも」っていった。
あのときも、いまみたいに、「かえるばしょ」がわからなくて、ふらふらしてたな、って思い出した。

帰る場所はあった。
それからなくなって、またできて、またなくなって、のくりかえし。
おわかれって、たぶんそういうこと。

たぶん、それを想う時の、ぎゅっとなるのが、こころが「さむい」なのかも。
わからないけれど。

甘えるの、覚えなよっていわれたの。
はじめてじゃなくって。

まだまだ、むずかしい。
けれど、すこしずつ、がんばりたい。
■■■■、って名前を、覚えていてくれたら、うれしい。
サエに、色々聞いてもらって、軽くなった。



おわかれが、さびしいから、だれかに近づくのをやめようとして、
思い出に、のこるのがさびしいから、 のこりたかった。
あいてに、迷わくかも、も沢山考えた。

でも、やっぱり、だれかとは友達になりたいし、
ひとりはさびしいかった。

みんなでいるのが、いちばんたのしくて、あたたかいもん。
テイラーと、いろいろはなしたあと、きがついたら、沢山友達できて。
だから、ありがとうは絶対言おうと思ってた。

リモネに、背中を押してもらった。
ホントはいいたかったこと、
後悔はもう、したくなかったから。
リモネにも、たくさん、ありがとうだ。
あとね、友達っていってくれたの、すっごくうれしかった。

あの時の言葉、聞こえてなくてもいい。
今度、ちゃんと、つたえる。
これは、ぜったい。





「オレは、夢の中で出会うヒトみたいな、いたはずだけど、
 ぼんやりとしか思い出せないそんな奴」



「だけど、そんなやつでもいいの。誰かにとって、
 特別な夢として、何かが残ればいいから」



「……そう、おもってたけど、いっぱい思い出貰ってるの
 オレのほうだなぁ……って」



「本当に、みんなありがと。 ちゃんと、いつか、お礼をさせてね」


いつかじゃだめだ。

そうおもって、ひとりごとをやめて、
今の帰る場所って思えるところに、子供は走って行きました。








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