Eno.132 レイン  七翼 - くらやみの森

*自分がそこに確かにあると、信じることかな*
*誰も手が出せない場所なんて、分かりきってるだろうにさ*
*天から押しつけられるものは唾棄の対象であっても容易く切り離せない*
*むしろ半分にするという事は、半分だけは繋がっている...........と呼ぶ事が出来ます*
*難儀のうちに入らんだろ、こんなもの。鬱陶しいだけで*
*重ねたものが何かになればいいです*
*ふぅん……無理やりポジティブになんのも疲れるしネ*
*レインの罪の形、レインの父親の形。けど、それを赦すのは、亡霊じゃない*


レイン
「実は結構申し訳なく思っているんだぜ、最後の最後にろくでもない事をしているってさ。色々話してくれた連中の好意を無下にしたかったわけではないんだ」

レイン
「ここは穏やかだよな、いや、物騒なメンツもいるがそれを含めても寛容で、穏やかで、大規模な害意ってのは存在しないだろ」

レイン
「あ、動物は別な」

レイン
「ここに来た初めは天国だと思った、次に現実だと気づいた時は楽園かとも、そして今じゃ一刻も早く逃げ出したい所だ」

レイン
「ここが悪いわけじゃない、俺の頭が変なだけなんだろうな」

レイン
「これでも結構自己改善に努めた方なんだぜ、店をやってる途中ランドラに物を教えてみたり、人との関りを増やして自己肯定感上げてみようとしたり、パーティーして楽しい思い出を増やしたり、……縁を半分にして帰らないようにしたり、痛い話を敢えて口にして過去にしようとしてみたり……前向きに自分を肯定してやりたかった。ほかならぬ自分で」

レイン
「……ただやっぱりなんだ、難しかったな」

レイン
「神様の存在を意識しだすと、もうそこから離れられなくなった。異世界で苦労してる連中の話を聞くと、どんどん行く気が凹んでいった。探索途中の戦闘も負けが増えるようになって、スノウを抱えて二人だけで勝てる事がなくなって」

レイン
「異世界に向かっても俺たちが出来るのは大道芸人みたいなちょっとした手品くらいだ。ワンダラーや魔女みたいに、命を守る術ってのが少なすぎる。今から得ても付け焼刃にしかならんだろ。そしたら……どうなる?また逃亡してた時の生活に戻るのか?あいつは自分を切り売りして、俺は誰かを殴り続ける?」

レイン
「でもここにはもういられないんだ。同じところにとどまり続けていると何かが首根っこを掴んでくるんだって妄想して恐ろしくなる」

レイン
「だから幸福なうちに終わりたかった、誰にも知られず、誰にも分らないまま……」

レイン
「まあもう無理な話だが」



*好きだよ*
*僕は君と生き延びたいよ*
*ずっとそばにいて*



レイン
「お前はずるいよ。何で今更そんなことを言うんだ」

レイン
「俺はお前と一緒に死にたいけど、お前を殺したいわけでもない。少し離れただけでぼろぼろになった姿を突きつけられたら、俺がそれを許せるわけがないだろ」

レイン
「俺はお前の為に父さんを殺したんだ、俺はお前の為に信仰を捨てたんだ、俺はお前の為に償いを諦めたんだ、俺はお前の為に……お前の為に……」


*わかってるよ、これは逆恨みだ*

レイン
「俺が好きでやってる事だお前の為だが、お前のせいじゃない」

レイン
「……」

レイン
すきだよ


*功利の怪物は愛の形をしている*








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