Eno.775 鳩当 心安  遺書 - あざやかな花園

 私はどうやら死ぬらしい。
 それも、神様に死ぬことを定められてるらしい。
 バカバカしいけど、『天使』の話を信じるなら、そういう風になってしまっているそうだ。

 少なくとも、この病気は死ぬまで治らない。
 医者も、『天使』も、それだけは確実に保証してくれた。
 どんどん体が弱くなっていって、今じゃとっくに終末期医療ターミナルケアの段階に移っている。
 補償として、死後の進路は保証はされているようだけど、あんまり魅力的には感じられない。

 私は、なんだかんだで今の人生を気に入っていたのだ。

 天使の補償を受けたとして、多分その先の生もきっとエンジョイできるだろうけど、
そこにいるのは、今の人生を生きた私じゃない。
 その先には父さんも母さんも友達もいないし、
皆、私のいない余生を過ごしたことを、遠い空の下で実感する羽目になるだろう。
(関係ないけど特に早くに消沈してお見舞いに来なくなったコーチには一生引き摺って欲しい。)

 転生なんてしょうもない。
 こんな不完全な世界の神様の手の平の上には、正直言って居たくない。

 だから、残り時間、やりたいことをやって生きて、生きて、それから死んでいこうと思った。

 ココナ。
 最期まで、よろしくね。








<< 戻る