Eno.751 イェッタ  どこまでも、夢 - くらやみの森

夢が続いてから、気がつけば随分と時が経ったように思う。

まったくできない料理が勝手にできたり、武具が生成できたり…。
そしてなにより、吸血衝動も起きない。

現実味のなさに、最初こそ『夢』だと思っていた。

けれど――

イェッタ
「(夢じゃない…のだろう。)」

 
周囲に存在するヒトを見ていても、その多様さと息遣いは
自分の想像から生まれたものとは思えない。

イェッタ
「(噂に聞く平行世界?
 それとも…眠っている・・・・・間に転移でもされたのかしら。)」



忌むべき血も、衝動とまではいかずとも
暗い欲が燻っている。

この島が、花の豊かな土地で助かった。
花から贈られた生命の雫と、その見目の美しさで心が安らぐ…。

イェッタ
「(…ここがどこだろうと、変わらないわ。)」


イェッタ
「叶わぬ夢を見続ける限り…
どんな現実も、そこに至るまでの
不確かな『けしき』でしか無いもの。」









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