Eno.563 ホバリングウミガメハイカー  【新着メッセージ 1件】 - ひかりの森

※これは、ホミガメさんとは何の関係もない
 誰かから誰かへの私信。







 日ごと冷たくなる泥がそろそろ凍りつき、逆に歩きやすくなるのではないか……と思うような、
 暑いさかりが懐かしい季節になりました。
 いかがお過ごしでしょうか。お仕事は順調ですか?

 こちらは長期の遠征がひとまず終わり、近場での仕事が主体の日々に戻ってきました。
 あれから目立つ傷は増えていない…と思います。腕と腿が……ちょっと太くなったかも……


  [中略:つらつらと他愛もない近況や動植物の話、危なかったことの話など]


 ところで最近、あの空の島の事をふと思い出すことが多くなりました。
 (もっとも、手紙を書く時はいつも思い出しているのですが)

 今頃、どうなっている事でしょう。
 閉園の危機を脱して、今やその騒動を振り返ってネタにするお祭りができるくらいになったので
 もう安心だろうなとは思っているのですが……。

 便りのないのが……ともいうし、心配は無いのかも。
 何か危機が訪れたら、きっとあの時みたいに招待状をばら撒くと思うし。
 そうしたら、もしかしてまた"偶然"会う機会もあるでしょうか?

 そうでなくても温泉、またご一緒したいですね。

 (※私は便りは送りつつすこぶる元気なので心配はご無用です)


 思えば、あなたに会うときはいつだって非日常の場所ででした。
 だからずっと、続き物の夢に現れる登場人物のような感覚だったのですが。

 
 手紙というかたちで現実にあなたとの交流が続いていること、
 夢ではない私の現実の一部であることを反芻するたび、
 改めて、たまらなく嬉しくなるのです。


 『最近、あの空の島の事をふと思い出す』たびにこれなので、
 人からは「最近なんかにやけてる」と言われたりもして……。

 次に会ったときに顔がにやけていたら、遠慮なくご指摘をお願いします。


 ──便箋がいっぱいなので、それではまた、次のお手紙まで。

 追伸。

 ずっと思っていたんですけど、この文体ちょっと固いですか?
 以前お渡ししたノートの記述が口語体がちなのは
 正直に申し上げると冒険記ものの影響なので、
 お手紙だとちょっと違うかなと思ったのですが…。







※いっぽうそのころ何の関係もないホミガメさんは
 目を白黒させながらラーメンをすすっていた。


「(ズゾーッ!! ズッ!! ハフッ!! ハフッッ!!)」



【空島二郎の貝汁ラーメン】(魚介類のラーメン)
・ひかりの森産の淡水二枚貝クラムをチャウダーでなく澄んだスープにし、
 中太のパスタと具材をどっぷり沈めた滋味あふれるスープパスタ。
 昼飯に、夜食に、飲んだ後のシメにもよし。


「──これ、シェルとは違うの?
 突然このどんぶりの中に魚がワープしてきたりしない?」


 火が通ってたら大丈夫なんじゃないかなあ。








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