Eno.371 リン  真実と誤った答え - はじまりの場所

――他者を欺き、誤った答えへと導く為には何が必要か。

リン
「真実を混ぜる事。一般的にはそうだろう」


――真実を混ぜた嘘で他者を欺くのが最良であるか。

リン
「及第点だな。それだと嘘がバレる可能性がある。そいつは面倒だ」


――なら、どう欺く。

リン
「簡単な話だ。真実を騙る」


リン
「私は真実のみを口にし、都合のいい誤った答えを用意する」





――勤勉や真面目、感謝であるだとか多くの誉め言葉にはどう答える。

リン
「嫌いな言葉だから嫌いだと言う。それらが私に向く事を嫌悪している」


リン
「称賛を向けられると、どうしようもなく気持ちが悪くなる」



――友好関係を築こうとする者にはどう答える。

リン
「不要だと言う。私には取引相手さえいればいい」


リン
「次が無くていいその場で終わる関係こそが私の求めるモノだ」



――周囲の者達と特に変わらぬ振る舞いをしているように見える

リン
「それは私が上手くやっているからそう見えるだけだ」


リン
「一度だって、私の名前すら伝えていないさ」



――リンという名を伝えている

リン
「コードネームやあだ名みたいなモノだ」


リン
「怠惰。それを意味する言葉であり名ではないから口にしている」



――夢である怠惰とは実際どのようなモノなのか

リン
「不労所得で悠々自適な生活。面倒な奴が来なければ尚よし」


リン
「奪った分、失った分だけ生きて朽ちる。覚めない眠りを求めている」



――早寝は単純に眠たいだけでは無かったのか

リン
「馬鹿にしてんのか! 眠たくなるのは本当だから否定しないが!」


リン
「覚めなければいいと寝て、起床する度に今日では無かったと思っている」



――過去の行いを間違いであったと後悔しているか

リン
「していない。それを背負って生きるだけだ」


リン
「間違いなどであっていいものか。亡くなった者達を馬鹿な奴らであったと言う事はあれど、彼らが生き、命を賭して死んだ事を決して否定などしない」



――面倒な生き方をしている

リン
「だから怠惰を求めている」


リン
「だから怠惰終わりを求めている」









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