Eno.186 冒険者  狩人との回顧録 - ひかりの森

さて、今回も少し昔の冒険を振り返るとしよう。



あれは、森に現れた猛獣を討伐して欲しいという依頼だった。
俺は何とかその猛獣を討伐したが、その時後ろから何かが飛んでくる気配を感じた。
それを避ける様に体をずらすと、俺の横を掠めるように一本の矢が猛獣に突き刺さった。

冒険者
「……誰だ?」

狩人
「ふーん、今のを避けるんだ…」


そいつは木々を跳び、俺の前へ降りてきた。

狩人
「あんた、結構な手練れだな…。何者だ…?」

冒険者
「……それは俺が先に聞いたはずだが?
まぁいい、俺はただの冒険者だ」

狩人
「へぇ、ただの冒険者ね…。オレは狩人、そう呼んでくれ…」


そうやって俺と狩人は出会った。

冒険者
「……で、俺を狙った理由は?」

狩人
「元々そんなつもりは無かった…あんたが俺の獲物を盗るまではな…」

冒険者
「……そうか。生憎俺は依頼を受けて討伐しただけだ。
手柄が欲しいなら他の依頼を当たれ」

狩人
「……じゃあ、依頼さえこなせればその獲物はどうしてもいいんだな?」

冒険者
「……まぁ、討伐した証拠さえ持ち帰れば俺は構わないが」


話を聞いていると、その狩人は食料などの調達として猛獣を狩ろうとしていたらしい。
そこで、俺は討伐の証拠となる物だけを取り、残りは狩人に譲ることにした。

……そして、俺が帰ろうとした去り際に狩人は言った。

狩人
「今回はお互い命拾いしたが、これだけは覚えておけ…
弱い者は狩られる…それが自然の掟だ…」


そして、目的を果たした俺達はそのまま別れた。
あいつは今頃どうしているだろうか。

……前の時もそうだが、冒険者はいつだって一期一会だ。
だが、もしまたどこかで会ったら……まぁ、お互い邪魔しなければ何もないだろう。

所詮はただの冒険者だからな。

P.S.
この前の日記では急な雨漏りで一部濡れてしまった。
次はそうならないように天井には気を付けよう。

To be continued... Name ―――ド―ウェ――ー (紙が所々焦げている)








<< 戻る