Eno.29 竹翔 ☀休憩 - 鐘の音の後 - はじまりの場所

竹翔
「大変良き音が響きまして」
「大変良き音が響きまして」

竹翔
「雲の糸の試練達成者。
えっちゃん殿、良き食べっぷりに御座りました。
拙者は初めて登り切るまでに203回かかったのですが……
やはりこう……重いのでしょうか」
「雲の糸の試練達成者。
えっちゃん殿、良き食べっぷりに御座りました。
拙者は初めて登り切るまでに203回かかったのですが……
やはりこう……重いのでしょうか」

竹翔
「皆様方、挑むことに積極的で全身で悔しさも喜びも味わう。
拙者の羨んだ火徒 の姿を見るかのようで御座りまする。
明日以降もまた、期待に御座りまするな」
「皆様方、挑むことに積極的で全身で悔しさも喜びも味わう。
拙者の羨んだ
明日以降もまた、期待に御座りまするな」

ヒの君
「また無駄なことをしているのね。ツキ」
「また無駄なことをしているのね。ツキ」

竹翔
「ああ、ヒの君。
ファインのフラワータワーはお気に召されましたか」
「ああ、ヒの君。
ファインのフラワータワーはお気に召されましたか」

ヒの君
「どうでもいいわ。
それより、随分と幸せそうなのね。
その幸せはいいの?
あたしと一緒にいるのと何が違うの?」
「どうでもいいわ。
それより、随分と幸せそうなのね。
その幸せはいいの?
あたしと一緒にいるのと何が違うの?」

竹翔
「違いはありませぬ。
いずれも『本当の幸せ』では御座りませぬ」
「違いはありませぬ。
いずれも『本当の幸せ』では御座りませぬ」

ヒの君
「わからない奴ね。
あんたはただ幸せを受け入れれば良いだけなのに、
そうすればあんたは『ずっと幸せ』になれるのに
拒むからそうなれないだけなのよ。
どうしてそれがわからないの?」
「わからない奴ね。
あんたはただ幸せを受け入れれば良いだけなのに、
そうすればあんたは『ずっと幸せ』になれるのに
拒むからそうなれないだけなのよ。
どうしてそれがわからないの?」

竹翔
「拙者は、己の実感を信じませぬ」
「拙者は、己の実感を信じませぬ」

ヒの君
「なら尚更あたしの言うこと聞きなさいよ!
あんたは幸せだって言ってんのに!」
「なら尚更あたしの言うこと聞きなさいよ!
あんたは幸せだって言ってんのに!」

竹翔
「いいえ、ヒの君も『本当の幸せ』を知りませぬゆえ、信じるに値しませぬ。
貴方様は拙者をはじめ多くの者に恩恵を与えてくださりましたが
近づけば近づくほど傷つけることしかしてくださりませぬ。
ゆえに我らは友達になれぬのです。
母君も、御主の在り方を案じておられたと、今ならわかりまする」
「いいえ、ヒの君も『本当の幸せ』を知りませぬゆえ、信じるに値しませぬ。
貴方様は拙者をはじめ多くの者に恩恵を与えてくださりましたが
近づけば近づくほど傷つけることしかしてくださりませぬ。
ゆえに我らは友達になれぬのです。
母君も、御主の在り方を案じておられたと、今ならわかりまする」

ヒの君
「母君?
ああ、あんたの前のツキか。
勝手に食われて死んだ裏切り者が何?
あたしよりもこんな救いようのないバカを選んだあいつが
あたしに何の文句をつけるってわけ?」
「母君?
ああ、あんたの前のツキか。
勝手に食われて死んだ裏切り者が何?
あたしよりもこんな救いようのないバカを選んだあいつが
あたしに何の文句をつけるってわけ?」

竹翔
「ヒの君、母君を悪くおっしゃるのはお止しくださいまし」
「ヒの君、母君を悪くおっしゃるのはお止しくださいまし」

ヒの君
「ほら、嬉しいんじゃない。
傷つけられたらあんた幸せでしょ?
何が問題なの?」
「ほら、嬉しいんじゃない。
傷つけられたらあんた幸せでしょ?
何が問題なの?」

竹翔
「嬉しくはありませぬ。
そこが拙者の実感の信じてはならぬところ。
『何をしてもされても幸せな存在 』が得る幸福感など
何の指標にもなりますまい」
「嬉しくはありませぬ。
そこが拙者の実感の信じてはならぬところ。
『
何の指標にもなりますまい」

ヒの君
「嘘つき。嘘つき。
なにがあっても幸せなんて
それほど良いことはないじゃない!
あんたのせいであたしはこんなに苦しいのに!
イラつくゴミ畜生!」
「嘘つき。嘘つき。
なにがあっても幸せなんて
それほど良いことはないじゃない!
あんたのせいであたしはこんなに苦しいのに!
イラつくゴミ畜生!」

ヒの君
「……でもいいの。
あたし待つって決めたから。
ツキ。
いつか分かり合えるって信じてるわ。
いつかわかってくれるって信じてるわ。
あんたがどんなにバカでも
あんたが友達じゃなくても離れずにいてくれるし
いつかは友達になってくれるんだものね?」
「……でもいいの。
あたし待つって決めたから。
ツキ。
いつか分かり合えるって信じてるわ。
いつかわかってくれるって信じてるわ。
あんたがどんなにバカでも
あんたが友達じゃなくても離れずにいてくれるし
いつかは友達になってくれるんだものね?」

ヒの君
「またねツキ。
次話すときはもう少し
あんたの物分かりが良くなってるといいわね」
「またねツキ。
次話すときはもう少し
あんたの物分かりが良くなってるといいわね」

竹翔
「ヒの君。
……行ってしまわれた」
「ヒの君。
……行ってしまわれた」

竹翔
「また明日!」
「また明日!」