Eno.254 ウンダリア・セ・アウィード  追うもの: 不穏有り - はじまりの場所

 クルーエル海賊団、私の家族と居場所と片足を奪った奴等。
 情報が入り次第、私は此の輩共を追っている。
 極めて残忍な奴等であり、本当の姿を見る頃には大体が手遅れである。
 私は其の生き残りであるが、生き残りと言うだけだ。
 中身を見た所でガワが違えば判断はし難いのだから。

 クルーエル海賊団は、変装や偽装、擬態に優れていると推測している。
 彼ら自身も船も、まるっきり別物になっているとしか考えられない。
 それ程に厄介極まりない行動と性質を持つ。

 クルーエル海賊団関係の事件の中で例を挙げるならば――。
 とある島に座礁した船が一つ存在した。
 船員達は皆殺しにされており、金目の物から物資は根こそぎ奪われたのか、一つもない状態。
 船員達の状態は詳しく記さないが惨い状況であったそうだ。
 しかし、その船は別の場所で目撃されたと言う。
 基本的に船には何かしらの特徴がある。
 此処では船の移動が基本であるから、嫌でも何かしらの特徴は出る訳だ。
 帆や船首像もあり、船に寄ってはシンボルを掲げている事もある。
 その特徴すら真似ているのであれば、船自体に何かしらの力、船員の誰かが丸ごと偽装出来る力を持っている可能性もある。

 船長と共に私は裏でクルーエル海賊団を追っている。
 彼等は賞金首でもあり、海を過剰に荒らし、交易や航海の波を止める事をしている事をしている。
 ロッキー海賊団は義賊型の海賊団であるから、其の利害と言った部分も一致はしているのだろう……と思う。
 だが、私の此れは私情に近いものだ。言わば、復讐でもある。
 しかし、クルーエル海賊団の所在の目途が立っていないのが現状だ。

アウィード
「『全てを支払わせなければなりません』」









<< 戻る