製造記録50年目

人間達との地下生活から50年目、貧困状態であった人間達との生活は貧困とは程遠い環境になっていた

貧困状態から抜け出してから、狩猟施設や教育施設、開発施設など自由度が上がっていき、
地下生活する事になった人間達は、新たな技術に目を付け有り余る程の資源を集め始めた。
我が開発した技術を開発する技術を参考にしたのだ、そして各々が技術を作り出すようになった。

最初は小さな道具製作から小さな物を浮遊させるといった、我が造る技術のほとんどの劣化版だったが、
未来で起こる出来事を聴く事が出来る技術と言った、奇才が作り出した技術も存在していた。
我もそこに加わり魔法という概念を作った事もあり最初は人気だが、そこまで流行らなかった。

今は人間達は新たな世界を受け入れ、こうして皆が
まるで今自分たちが住んでいる事が地下であることを忘れてしまうかのようなひと時を過ごしている。

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一方、我は何をしているかというと、地球と地上の文明を復興する計画を進めている、
しかし地上の汚染具合、壊滅的な環境を全て改善する間、地上を復興する時間と人間達の寿命を考え、
我が居ない間に問題が起きた場合に処理する人間達に負荷が多大だ、なら負荷をかけない為にはどうすればいいか。

我は考えた、要は意識だけは3年程度だが、地上では数百年過ぎている環境を作ればいい
浦島太郎という御伽噺を実現させてしまえばいいのだ、これくらい造作無い。

そして、意識だけ活動できる環境については目論見は付けていた

別の世界を覗く技術を造って、様々な世界が存在している事を我は知ったいた、
しかし、世界を覗くにも時間がかかる事があり目的の世界を観測できるわけでもなかった。
つまり、次元の隙間というものがあるのではないだろうかと考察し、
実際にその次元の隙間に我たちだけの世界を作り上げ、そこに意識体コーラル体として過ごせば良いのではないか。

体はコールドスリープして活動を停止させ、意識は時間の流れが違う世界…夢の世界とでも言うのだろうか、
その夢の世界に住んでもらう間、我は地上での浄化活動を行う。
それが我の考えついたAIDLARGE大きなパトロンだった。

我の友である研究者はそれに賛同し、約30年と人間の寿命を半分削るような作業を手伝ってもらった。
我に寿命がいつ来るかは分からないとはいえ、本当に申し訳ない事をしてしまったと思う。

そうして、研究者と共に作り上げた次元のナイフで空間を切り裂き、
その先に光も何もない虚無の空間が見えたことに我らは成功の笑みを浮かべたのであった。