Eno.442 巫伽 惺  走る先に、あなたは - はじまりの場所

 いない

 いない

 いない

 あいつツルバミが、どこにもいない

 痕跡は辿ったはずだ
 絶対此処にあいつがいるはずなんだ

 探し出せ。なんとしてでも
 ただそれだけが私の存在意義だ

 私は新月の続きだ
 彼女のやり残した事を一つでも多く
 彼女に近い事を一つでも多く

 新月は守ることが得意だった
 新月は魔法少女が好きだった
 新月は牡丹一華が好きだった

 新月は内気な子じゃなかった
 新月は子供っぽい子じゃなかった
 新月はもっと強くて、もっとしっかりしてて
 たったひとつの綻びで苦しむような子じゃなかった!

 私はまだ、新月の続きになりきれてない
 それでもやり遂げなければいけない

 この見た目は新月の夢そのものだ
 仲間を守れる聖なる騎士
 キラキラしてかわいい魔法少女
 おまじないを込めた牡丹一華の花飾り
 少し私の趣味に寄せ過ぎただろうか

 変質した光輪は、新月が果たせなかった約束で
 今は私が叶える約束だ

 大丈夫。そうすれば、鈴もみんなも幸せだ
 迷う事はない。私はそのために生まれてきたんだから

 
「……本当に、それでいいのか?」


 それでいいに決まってるのに、私は今更何を躊躇っているんだろう








<< 戻る << 各種行動画面に戻る