Eno.254 ウンダリア・セ・アウィード  転機: 不穏有り - はじまりの場所

――竜に喰われちまいな!

 それは赤い液体と共に海に投げ込まれる前に聞こえた言葉だ。
 長い間、海を漂う破目にもなった。
 私が海藻種でなければ、終わっていたかもしれない。
 赤い液体の香りに誘われて来たのがリラでもあった。
 そして、運良く、海洋生物に襲われる事は無かった。
 髪に魚が来るからか、リラは食事に困らなかったあの時期。
 ある時だったか、リラが手元に来たものであるから、奏でてみようと思った。
 無論、リラを演奏などした事が無い。
 ズレた音を奏でてたかもしれないな、あの頃は。
 暫し演奏をしていた所、此方に向かってくる大型の船。
 此方に向かって来るものであるから、事故の可能性を考えなかった訳ではないが。
 上手い具合に操縦していたのだろうか。
 あの船は、まだ謎が多いのもある。

 話を戻す。

 船の上に一人の影が居た。
 其の影がロッキー海賊団の船長であった。
 当時、船長〝しか〟居なかった、と記憶している。

アウィード
「『人生はどうなるか分かりませんね、船長』」


 海賊に様々を奪われ、竜が立ち上げた海賊団に身を置いて、副船長の立ち位置に居るものだから。
 実に不思議なものだ。








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