Eno.386 福平 双汰  1 - はじまりの場所

前略。紙切れ押し付けられて知らない所に来る羽目になっちゃった。 なんでだよ。

双汰
「エ~~~ン…………」

俺なんかしたか? こんなツキのない目に遭うことした?
どっちかっていえば最近は知らない人に席譲るとか、見つけた空き缶拾うとか、世間的にいいことしてた方じゃん。
俺が動かなかったらあの人は座れてなかったかもしれないし、ポイ捨てはよくないって普通のことじゃん。

双汰
「いやだあ、第一無断欠勤……アア~~ァ…………」

ああでも代行探してたし辞めちまえってことなのかな、退職金出ないかもだけど代行料金もかからないってことだし。
貯金今いくらあったっけ、光熱費なら三ヶ月は止めずに済むと思うし、外食しなければ食べ物だって一日一食ぐらいは?
パワハラ受けて働くぐらいならコレに乗っかってついでに行方不明になっちゃった方がたぶんいいかもねって。

双汰
「…………」

双汰
「…………外出たくないなあ……」

みんなどうやって外で暮らせてるんだろう。ずっとよくわかんないまま生きてるな。
ああ、日差しが眩しい……。



**
「▓▓▓▓」

双汰
「――あっつ!痛ッ!!やめろバカ、燃える!
 なんでついて来てんだよこれ……」









<< 戻る