Eno.460 ぷりんまる・さゔぁらん 通信記録#2 - はじまりの場所
人気の少ない森の中でカバンの中から古式ゆかしい通信機を取り出し、目の前に鎮座させます
今日は定期連絡の日。最初の連絡こそすっかり忘れてしまっていましたが今回は確り覚えていました
一度した失敗は二度と繰り返さない、学習能力の高さは自分達の特徴の一つです
…まぁ、とはいえ目の前の事に熱中しすぎてしまうと時折、抜けてしまうこともあるのですが
通信機のスイッチを入れて、魔法陣が展開されました
如何にも通信機ですと主張しているような見た目をした目の前の機械に…何度見ても少しおかしいなと笑ってしまいます
本来であれば通信をするなんて、今手元にあるHanaco端末のような小さいもので問題無い筈なのですが…
幾ら異世界との通信というのが未知であるとはいえ、あれもこれも…と過保護な程に機能を付け足した結果、巨大化してしまったというのですから
自分の保護者は…無機質ながらも情が深いのだと、情緒が以前より発達した今ならば分かります
「通信、同期開始…33550336ですぅ。聞こえますかぁ、Mother?」
【―――通信接続―――問題ありません。定期連絡ですね33550336―――】
「はぁい、現状ですがぁ…特に問題無し、ですぅ。
こちらに来ている観光客の皆さんとの交流もぉ、許可を頂いてからぁ
色んな方とお話させてもらっていますがぁ…皆さんとってもいい人ばっかりでぇ…♪」
見えはしないというのに身振り手振りを交えながら興奮気味にソラニワでの出来事を語りました
こんな人とこんな会話を交わしたこと
お気に入りの場所が出来たこと
眠るのが惜しくてうとうとしている内にベンチで寝てしまったこと
…そんな日が続いたら風邪を引いてしまったこと
つい最近探索出来るエリアが広がったこと
…探検するのが楽しくて、つい夜更かしをしてしまったこと
花壇を整え、お花を育てて、そのお花が力をくれたこと
その力で、最近は皆さんのお手伝いがたくさん出来ていること
止め処無く語られる出来事は脈絡の無い事も多かったですが、Motherは黙ってそれを聞き続けました
そうして漸く、ある程度の事を語り終えたわんこは一息ついて、反応を待ちます
【―――まず、体調管理は基本であると教育をした筈ですが―――】
あっ、余計な事まで報告をしたと気付いた時にはもう遅く
既に小さなくまさんにさんざん注意を受けた事へのお説教を受けて
Motherの名にそぐわぬ小さな子供への注意事項のようなものを長々とされて
先程まで楽しく話をしていたわんこは何時の間にか正座をして俯いていましたが
【―――ですが。貴方が順調に、成長していっている事は認められます―――】
【―――よく、頑張りましたね―――】
今まで余り聞いた事が無いお褒めの言葉を貰えば、嬉しそうに破顔して
正座したままではありますが今後の指針などを相談して、必要な事は全て話し終えました。
「はぁい。今後も頑張って、こちらの世界の調査を続けますぅ!
えっとぉ…今のバイタルの状態とかは特に問題ない…ってことで大丈夫ですかぁ?」
【―――ええ、オールグリーン。問題有りません。お疲れ様でした、33550336―――】
【―――今後とも、くれぐれも体調管理には気を付けて―――】
【―――引き続き、仮称・ソラニワの世界の調査を続けて下さい―――】
【―――通信を終了します―――次回も忘れず、報告を―――】
「は、はいぃ…気をつけますぅ…お疲れ様でした、Mother。皆さんにも宜しくお伝え下さぁい」
無事通信を終えた、という安堵の息が漏れたところで通信は遮断されました。
これからも頑張りましょう。と気合を入れ直して通信機をしまい、わんこは立ち上がって。
また探検へと旅立っていきました。まだまだ沢山あるというカケラは何処にあるのかな―――
【―――――――――――――――――――――】
【―――バイタル、マスクデータ開示―――】
【―――虚数侵蝕率、0.21%の低下を確認―――】
【―――――――――――――――――――――】
【―――現段階での断定は不可能、引き続き推移を観察―――】
【―――PROJECT:NOAHを継続―――】
【―――同時に、新規PROJECTへの移行も視野に―――】
【―――――――――――――――――――――】
今日は定期連絡の日。最初の連絡こそすっかり忘れてしまっていましたが今回は確り覚えていました
一度した失敗は二度と繰り返さない、学習能力の高さは自分達の特徴の一つです
…まぁ、とはいえ目の前の事に熱中しすぎてしまうと時折、抜けてしまうこともあるのですが
通信機のスイッチを入れて、魔法陣が展開されました
如何にも通信機ですと主張しているような見た目をした目の前の機械に…何度見ても少しおかしいなと笑ってしまいます
本来であれば通信をするなんて、今手元にあるHanaco端末のような小さいもので問題無い筈なのですが…
幾ら異世界との通信というのが未知であるとはいえ、あれもこれも…と過保護な程に機能を付け足した結果、巨大化してしまったというのですから
自分の保護者は…無機質ながらも情が深いのだと、情緒が以前より発達した今ならば分かります
「通信、同期開始…33550336ですぅ。聞こえますかぁ、Mother?」
【―――通信接続―――問題ありません。定期連絡ですね33550336―――】
「はぁい、現状ですがぁ…特に問題無し、ですぅ。
こちらに来ている観光客の皆さんとの交流もぉ、許可を頂いてからぁ
色んな方とお話させてもらっていますがぁ…皆さんとってもいい人ばっかりでぇ…♪」
見えはしないというのに身振り手振りを交えながら興奮気味にソラニワでの出来事を語りました
こんな人とこんな会話を交わしたこと
お気に入りの場所が出来たこと
眠るのが惜しくてうとうとしている内にベンチで寝てしまったこと
…そんな日が続いたら風邪を引いてしまったこと
つい最近探索出来るエリアが広がったこと
…探検するのが楽しくて、つい夜更かしをしてしまったこと
花壇を整え、お花を育てて、そのお花が力をくれたこと
その力で、最近は皆さんのお手伝いがたくさん出来ていること
止め処無く語られる出来事は脈絡の無い事も多かったですが、Motherは黙ってそれを聞き続けました
そうして漸く、ある程度の事を語り終えたわんこは一息ついて、反応を待ちます
【―――まず、体調管理は基本であると教育をした筈ですが―――】
あっ、余計な事まで報告をしたと気付いた時にはもう遅く
既に小さなくまさんにさんざん注意を受けた事へのお説教を受けて
Motherの名にそぐわぬ小さな子供への注意事項のようなものを長々とされて
先程まで楽しく話をしていたわんこは何時の間にか正座をして俯いていましたが
【―――ですが。貴方が順調に、成長していっている事は認められます―――】
【―――よく、頑張りましたね―――】
今まで余り聞いた事が無いお褒めの言葉を貰えば、嬉しそうに破顔して
正座したままではありますが今後の指針などを相談して、必要な事は全て話し終えました。
「はぁい。今後も頑張って、こちらの世界の調査を続けますぅ!
えっとぉ…今のバイタルの状態とかは特に問題ない…ってことで大丈夫ですかぁ?」
【―――ええ、オールグリーン。問題有りません。お疲れ様でした、33550336―――】
【―――今後とも、くれぐれも体調管理には気を付けて―――】
【―――引き続き、仮称・ソラニワの世界の調査を続けて下さい―――】
【―――通信を終了します―――次回も忘れず、報告を―――】
「は、はいぃ…気をつけますぅ…お疲れ様でした、Mother。皆さんにも宜しくお伝え下さぁい」
無事通信を終えた、という安堵の息が漏れたところで通信は遮断されました。
これからも頑張りましょう。と気合を入れ直して通信機をしまい、わんこは立ち上がって。
また探検へと旅立っていきました。まだまだ沢山あるというカケラは何処にあるのかな―――
【―――――――――――――――――――――】
【―――バイタル、マスクデータ開示―――】
【―――虚数侵蝕率、0.21%の低下を確認―――】
【―――――――――――――――――――――】
【―――現段階での断定は不可能、引き続き推移を観察―――】
【―――PROJECT:NOAHを継続―――】
【―――同時に、新規PROJECTへの移行も視野に―――】
【―――――――――――――――――――――】