Eno.380 黒羊の欠けない月は  Ps.06 『地も、天も、風すらも』 - はじまりの場所

  ―― 輝きは、祝福。
     包まれて、意識が此処に在る。  ――

            「使徒よ。
             あなたは再び、
             目覚める事を許された。」

  ―― 澄んだ言葉は、その音よりも先に、
     意味を伝える様に。       ――

  ―― いや。
     その言葉は、音では無くて、
     輝きの中に在るのだろう。    ――

「何故ですか。
 態々そんな事を。
 あなた方にとっては、
 無意味でしょう。」

  ―― それは、個を求めない。
     それは、個を認識しない。
     無意味で在り、無価値で在るから。――

  ―― それならば、私は。
     私も、唯、消えるだけの筈だ。  ――

           「あなたの__は、美しい。」

           「主は、それを惜しまれた。」

  ―― 無意味で、無価値だ。
     それは皆、私達は同じ事。    ――

「その様に創られたのだから、
 当然でしょう。」

          「いいえ。
           あなたの__は、
           そう創られたものでは無い。」

       「あなたは、空の下に生まれたもの。
        その__は、主の介在無く、
        美しく在った。」

       「それ故、あなたは使途に選ばれた。
        それ故、再び。
        いいえ、三度、あなたは目覚めた。」

  ―― 空の下に、生まれたもの。
     それでは、私は。        ――

            「さあ、使徒よ。
             また、あなたの使命を。」

            「その美しき__を以て。
             同じ美しさを持つ者を、
             導くのです。」

          「主の御座に、美しき__を。」

  ―― 輝きに、送り出されて。
     記憶通りの、青く澄んだ空。
     何も無かった様に。
     記憶通りの、何時も通り。    ――

  ―― 辺りには、誰も居ない。
     誰かが居た事も、無かった様に。
     私だけが、また目覚めた。    ――
     
  ―― 青く、青く、何処までも澄んだ空。
     地も、天も、風すらも綺麗しずかで。  ――

  ―― …嗚呼。
     無意味で、無価値だ。      ――








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