Eno.115 マイフ=ハイライト 内部対談記録【対象02】 - はじまりの場所
記録責任者: マイフ=ハイライト(副隊長)
対象個体: プラムック=キャスター(隊員)
実施日時: 構造変異初期段階:第14次観測周期
場所: 対象個体の私室
■ 状況背景
本対談の目的は、■規第■■条に基づく「表世界個体との存在統合」に関する最終意思確認である。対象個体は家族の喪失に起因する精神的負荷を抱えているが、記録責任者はこれを『無視可能なノイズ』ではなく『統合の成否を左右する確定変数』として定義し、対話に臨んだ。
■ 室内状況
室内は極めて静穏であり、戦闘員としての機能性のみが残されている。棚には手入れの行き届いた戦槌が置かれ、壁には拳を叩きつけた際に生じたと思われる微細な亀裂が散見される。窓の外には停滞した裏世界の空が広がり、室内の空気は澱んでいる。
■ 対談ログ
[対象は椅子に深く腰掛け、温度を失った湯飲みを眺めていた]
マイフ:「……これを確認しろ。今回の存在統合の判定において、避けては通れない確定事項だ」
私は端末に『特定領域における構造変異個体(バグ)の広域掃討任務』の事後報告書を表示し、対象の正面に提示した。当該座標と日時は、彼の家族が消息を絶った記録と完全に一致する。私が家族を排除した担当者であるという事実を、あえてこのタイミングで再定義した。
プラムック:「……何の真似かなあ。副隊長」
[対象の音声に微かな震えを確認。握りしめられた拳の震動係数から、激しい憤怒を推測]
マイフ:「事実の提示だ。表世界の『貴公』は、今回の統合に対し、裏側の自分を消すのは忍びないという非論理的な人道主義を提唱している。そのような甘い予測が統合後の精神に混入すれば、貴公の存在定義はさらに脆弱化する。回答しろ。統合を承認するか、否か」
プラムック:「ええ、向こうの『表』の俺は今も幸せに暮らしているんでしょう、それで難色を示しているってのはつまり、罪悪感だ」
プラムック:「あの子たちがバグった結果、あっちの俺の元に行けたんでしょ。だから、向こうの俺が『裏の自分を消すのは忍びない』なんて優しいことを言っているのは、滑稽でしかない。……いいですか、副隊長。人の目を借りて、人の人生を借りて、人の幸せを『影』から覗き込むなんて―――あまりにも、くだらない」
マイフ:「妥当な判断だ。感情による自己保存の拒否は、生存戦略として非論理的と言える。だが、統合を拒絶し、このまま残留するのであれば、貴公には新たな任務、継続待機が課せられる。……消滅も、統合による逃避も許されない状況下で、貴公は何を依り代に自己を維持するつもりだ」
プラムック:「……あんたを憎んでさえいれば、俺は消えないで済む。そう言いたいの?」
マイフ:「統合しないというのなら、それも一つの合理的な選択だ。私を殺したいのであれば、消えることは許されない。消滅は、貴公が抱く全ての負の熱量を無に帰す、最も無責任な権利の放棄だ。……私という憎悪の対象を維持しろ。それが、貴公がこの世界で『兵士』として在り続けるための唯一の論理的な楔となる」
プラムック:「……そうか。そう、かもしれないね……」
対象は力なく、曖昧に首を縦に振った。私はこれを【継続待機の意思あり】と判定。対談を終了し、速やかに退室した。
[介入] 即座に反転し、対象の私室へ再突入。 椅子を蹴り飛ばし、自らの頸部を吊り上げようとした対象を確認。即座に物理的接触を行い、対象を床面へ引きずり下ろした。
プラムック:「……もう、いいでしょ……」
マイフ:「許可なき個体廃棄は認めない。……貴公は、私の管理下にある『定数』だ」
対象の瞳から光彩が消失し、同時に全身の弛緩を確認。強烈な精神的負荷により、自己定義を維持するための処理能力が限界に達したものと推測される。
【判定:意識不明の停滞状態】 精神的自壊を防ぐための、脳内の自己防衛的なシステムフリーズと定義。 本個体の意識が回復し、命令受領が可能になるまで、直属指揮官(メリリフ)の直接管理下に置く。
ENo.820 眠りの獅子

直属指揮官の元、意識のみをネットゲームの中へ転送。
その中でも精神が耐え切れず、眠り続けている。
対象個体: プラムック=キャスター(隊員)
実施日時: 構造変異初期段階:第14次観測周期
場所: 対象個体の私室
■ 状況背景
本対談の目的は、■規第■■条に基づく「表世界個体との存在統合」に関する最終意思確認である。対象個体は家族の喪失に起因する精神的負荷を抱えているが、記録責任者はこれを『無視可能なノイズ』ではなく『統合の成否を左右する確定変数』として定義し、対話に臨んだ。
■ 室内状況
室内は極めて静穏であり、戦闘員としての機能性のみが残されている。棚には手入れの行き届いた戦槌が置かれ、壁には拳を叩きつけた際に生じたと思われる微細な亀裂が散見される。窓の外には停滞した裏世界の空が広がり、室内の空気は澱んでいる。
■ 対談ログ
[対象は椅子に深く腰掛け、温度を失った湯飲みを眺めていた]
マイフ:「……これを確認しろ。今回の存在統合の判定において、避けては通れない確定事項だ」
私は端末に『特定領域における構造変異個体(バグ)の広域掃討任務』の事後報告書を表示し、対象の正面に提示した。当該座標と日時は、彼の家族が消息を絶った記録と完全に一致する。私が家族を排除した担当者であるという事実を、あえてこのタイミングで再定義した。
プラムック:「……何の真似かなあ。副隊長」
[対象の音声に微かな震えを確認。握りしめられた拳の震動係数から、激しい憤怒を推測]
マイフ:「事実の提示だ。表世界の『貴公』は、今回の統合に対し、裏側の自分を消すのは忍びないという非論理的な人道主義を提唱している。そのような甘い予測が統合後の精神に混入すれば、貴公の存在定義はさらに脆弱化する。回答しろ。統合を承認するか、否か」
プラムック:「ええ、向こうの『表』の俺は今も幸せに暮らしているんでしょう、それで難色を示しているってのはつまり、罪悪感だ」
プラムック:「あの子たちがバグった結果、あっちの俺の元に行けたんでしょ。だから、向こうの俺が『裏の自分を消すのは忍びない』なんて優しいことを言っているのは、滑稽でしかない。……いいですか、副隊長。人の目を借りて、人の人生を借りて、人の幸せを『影』から覗き込むなんて―――あまりにも、くだらない」
マイフ:「妥当な判断だ。感情による自己保存の拒否は、生存戦略として非論理的と言える。だが、統合を拒絶し、このまま残留するのであれば、貴公には新たな任務、継続待機が課せられる。……消滅も、統合による逃避も許されない状況下で、貴公は何を依り代に自己を維持するつもりだ」
プラムック:「……あんたを憎んでさえいれば、俺は消えないで済む。そう言いたいの?」
マイフ:「統合しないというのなら、それも一つの合理的な選択だ。私を殺したいのであれば、消えることは許されない。消滅は、貴公が抱く全ての負の熱量を無に帰す、最も無責任な権利の放棄だ。……私という憎悪の対象を維持しろ。それが、貴公がこの世界で『兵士』として在り続けるための唯一の論理的な楔となる」
プラムック:「……そうか。そう、かもしれないね……」
対象は力なく、曖昧に首を縦に振った。私はこれを【継続待機の意思あり】と判定。対談を終了し、速やかに退室した。
■追記:緊急介入および個体状態変更記録
[退室後:120秒経過] 退室直後の歩行中、脳内演算にて対象の『曖昧な頷き』と『室内の備品の配置』を再計算。対象が視線を落とした先に、本来の用途から逸脱した状態で配置されたロープが存在したことを検出。対象が『論理の罠』によって生存の義務と絶望の板挟みになり、不合理な幕引き(自己廃棄)を選択する確率が87%を超えたと判断。[介入] 即座に反転し、対象の私室へ再突入。 椅子を蹴り飛ばし、自らの頸部を吊り上げようとした対象を確認。即座に物理的接触を行い、対象を床面へ引きずり下ろした。
プラムック:「……もう、いいでしょ……」
マイフ:「許可なき個体廃棄は認めない。……貴公は、私の管理下にある『定数』だ」
対象の瞳から光彩が消失し、同時に全身の弛緩を確認。強烈な精神的負荷により、自己定義を維持するための処理能力が限界に達したものと推測される。
【判定:意識不明の停滞状態】 精神的自壊を防ぐための、脳内の自己防衛的なシステムフリーズと定義。 本個体の意識が回復し、命令受領が可能になるまで、直属指揮官(メリリフ)の直接管理下に置く。
眠りの獅子
Stella Board 試遊会・1期ENo.820 眠りの獅子

直属指揮官の元、意識のみをネットゲームの中へ転送。
その中でも精神が耐え切れず、眠り続けている。