Eno.469 嘘吐きと羽付き 或る音声記録 3 - はじまりの場所
対象:斉田優弥
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:渡貫宗四郎・斉田冴
「えー、俺から見た荒次郎……?
宗四郎が言った以上のこと言えないかもしれないけど……」
\そこを何とか!/
\ヨッ! 現場叩き上げ!/
「誰が不幸巻き込まれ虚弱体質だ、誰が……」
\優弥さん、そうは言ってないよ……/
\自分が一番分かってんじゃんね/
「まあ、色々あったけど……。
アイツは俺にとっては、かなり早いうちに友達になってくれた奴だよ。
そりゃアイツのやり方でだいぶ怒ったりもしたし、殴ったりもしたけど」
\優弥さん意外とアグレッシブだよね/
\見た目は優等生メガネであるにも関わらず/
\やっぱ人間って第一印象じゃないのかも/
\ちなみにユウ兄が怒るって何したん?/
「やかましいぞお前ら。
ああ、ほら、冴なら身を以って知ってるだろ。愛良の箱庭。
あそこに切継が迷い込んだのって、荒次郎の手引きらしくって。
俺からすると友達巻き込んだことになるし、でも友達になった切欠もアレだろ?
それにアイツがいなかったら間違いなく今の俺は無かったわけだから……。
その場では確か、一発殴った後に一緒に飯食って終わりにしてた。俺はな」
「俺と会ったばかりの頃は、そういうことばっかりやってたんだよ」
「わざと敵の中に入り込むとか、わざと味方を傷つけるようなことをして、
予知の中の出来事の発生時期をコントロールをしてみたり。
普通に俺たちの手伝いをして解決を試みるとか、
手伝ってくれそうな組織をサポートして事件に立ち向かえるようにするとか、
そう言うこともやってはいたんだけどさ
それで表向きには能天気なツラを作ってヘラヘラしてたんだ、
……っていうのも知ったのは後の方だったりするんだけどな……」
\まあ、『渡貫』はそれが出来ちゃうからな/
「確か、御伽噺の悪役の子孫だって言ってたし。
そういうことに特化してるんだって今でも自虐してるよアイツ。
自分が良い奴だって思うことに抵抗もあるんだろうな……」
\カチカチ山原典な/
\ってことはババア汁か/
\ところで、後で知ったっていうのは……/
「ああ、アレは7年前くらいの時だったな、春休みだったんだけど。
異能者を御神体に据えたカルト教団が邪神を召喚しようとする事件があって。
ここにいる面子だと知ってるのは芽衣だけか。
その辺りで荒次郎の方に体力と魔力と精神に限界が来たとかで、
時森家が管理する『桜の東屋』で休ませることになったんだよな」
\あそこは魔力戻すのに良いからな/
\7年前くらい前の、春……/
\……ソーシロー、顔色悪くない?/
\ううん、……大丈夫、続けて/
\無理すんなよ~/
\しかしコージローがメンタル終わるってヤバいね/
「いや、仕方ねぇよ。
だってあのカルト教団、利根浦の亡骸を利用してたんだから。
あの予知夢の異能が残った亡骸に、違う誰かの精神を宿してる状態、
……色々踏み躙られてる訳だからな」
「……、アイツは自分の手で亡骸の息の根を止めるつもりだった。
平気なフリしようとしていた。けど、表情が引きつってたし、
孝也も『絶対渡貫を止めろ』つってたし。
あのままやらせていたら、たぶん大変なことになってたんだろうと思う。
渡貫の変化って核にアイデンティティをガッツリ組み込んでいるらしいし、
あの時のアイツって殆ど利根浦を中心に動いてたところがあるからさ。
そんなアイツに、利根浦の亡骸が害せる訳ねぇじゃん。
とにかく、他の手を使って事件を収束できるように、色んな奴らが動いてたな。
こうやって話してる俺も、こう……ちょっとだけな」
\優弥兄ちゃんはウッカリ教団内部に入り込んでたぞ/
\ユウ兄、一般人ってマジ?/
\俺も一緒だったとはいえとんでもねぇぜ/
\一般人の概念が裸足で逃げ出しちゃうね/
「一般人だ、一般人! 何なら一般人の中でも雑魚寄りだ!
ああ もう、話戻すぞ。
収束した後のことは話に聞いただけなんだけど、
亡骸は奇譚総研のところに一度持ち帰られて、
簡単な調査をした後に火葬を執り行うことになったらしい。
その場には、少なくとも 荒次郎と天良梓がいたって聞いている。
荒次郎は利根浦との付き合いが長かったから『葬式』には出たいだろうって判断で、
天良梓は異能を探知する目を求められて呼ばれたんだって。
渡貫は亡骸が無事に火葬された後に路地裏で気を失っていたらしい。
冷たくなった狸を切継が自分の家に連れて来て、その流れで休ませたって」
「意識を取り戻した時には、だいぶ取り繕えるようになってた。
アイツはそんな自分を『ひとでなし』つって自嘲するから、
案外取り繕えてしまう自分に思うところがあるかもしれないけど。
少なくとも……俺はそんな風に思ったことは一度もない」
「『ひとでなし』かどうかはともかく、
フツーに心配になったから全力で問い詰めたけどな?
取り繕ってても明らかにいつもとは違ったからな?
却って痛々しい、いい加減に吐き出せ、無駄かどうか勝手に決めんな」
\ユウ兄、当時めっちゃ怒ったようだ/
\優弥さん、心に反骨精神飼ってるなぁ/
\見た目は優等生メガネであるにも関わらず/
「見た目は関係ないだろ……。
だからさ、……最初に言ったけど友達だし悪い奴じゃないよ。
アイツは自分のこと悪い狸とでも思ってるだろうし、自分ではそう言うけど」
……。
…………。
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:渡貫宗四郎・斉田冴
「えー、俺から見た荒次郎……?
宗四郎が言った以上のこと言えないかもしれないけど……」
\そこを何とか!/
\ヨッ! 現場叩き上げ!/
「誰が不幸巻き込まれ虚弱体質だ、誰が……」
\優弥さん、そうは言ってないよ……/
\自分が一番分かってんじゃんね/
「まあ、色々あったけど……。
アイツは俺にとっては、かなり早いうちに友達になってくれた奴だよ。
そりゃアイツのやり方でだいぶ怒ったりもしたし、殴ったりもしたけど」
\優弥さん意外とアグレッシブだよね/
\見た目は優等生メガネであるにも関わらず/
\やっぱ人間って第一印象じゃないのかも/
\ちなみにユウ兄が怒るって何したん?/
「やかましいぞお前ら。
ああ、ほら、冴なら身を以って知ってるだろ。愛良の箱庭。
あそこに切継が迷い込んだのって、荒次郎の手引きらしくって。
俺からすると友達巻き込んだことになるし、でも友達になった切欠もアレだろ?
それにアイツがいなかったら間違いなく今の俺は無かったわけだから……。
その場では確か、一発殴った後に一緒に飯食って終わりにしてた。俺はな」
「俺と会ったばかりの頃は、そういうことばっかりやってたんだよ」
「わざと敵の中に入り込むとか、わざと味方を傷つけるようなことをして、
予知の中の出来事の発生時期をコントロールをしてみたり。
普通に俺たちの手伝いをして解決を試みるとか、
手伝ってくれそうな組織をサポートして事件に立ち向かえるようにするとか、
そう言うこともやってはいたんだけどさ
それで表向きには能天気なツラを作ってヘラヘラしてたんだ、
……っていうのも知ったのは後の方だったりするんだけどな……」
\まあ、『渡貫』はそれが出来ちゃうからな/
「確か、御伽噺の悪役の子孫だって言ってたし。
そういうことに特化してるんだって今でも自虐してるよアイツ。
自分が良い奴だって思うことに抵抗もあるんだろうな……」
\カチカチ山原典な/
\ってことはババア汁か/
\ところで、後で知ったっていうのは……/
「ああ、アレは7年前くらいの時だったな、春休みだったんだけど。
異能者を御神体に据えたカルト教団が邪神を召喚しようとする事件があって。
ここにいる面子だと知ってるのは芽衣だけか。
その辺りで荒次郎の方に体力と魔力と精神に限界が来たとかで、
時森家が管理する『桜の東屋』で休ませることになったんだよな」
\あそこは魔力戻すのに良いからな/
\7年前くらい前の、春……/
\……ソーシロー、顔色悪くない?/
\ううん、……大丈夫、続けて/
\無理すんなよ~/
\しかしコージローがメンタル終わるってヤバいね/
「いや、仕方ねぇよ。
だってあのカルト教団、利根浦の亡骸を利用してたんだから。
あの予知夢の異能が残った亡骸に、違う誰かの精神を宿してる状態、
……色々踏み躙られてる訳だからな」
「……、アイツは自分の手で亡骸の息の根を止めるつもりだった。
平気なフリしようとしていた。けど、表情が引きつってたし、
孝也も『絶対渡貫を止めろ』つってたし。
あのままやらせていたら、たぶん大変なことになってたんだろうと思う。
渡貫の変化って核にアイデンティティをガッツリ組み込んでいるらしいし、
あの時のアイツって殆ど利根浦を中心に動いてたところがあるからさ。
そんなアイツに、利根浦の亡骸が害せる訳ねぇじゃん。
とにかく、他の手を使って事件を収束できるように、色んな奴らが動いてたな。
こうやって話してる俺も、こう……ちょっとだけな」
\優弥兄ちゃんはウッカリ教団内部に入り込んでたぞ/
\ユウ兄、一般人ってマジ?/
\俺も一緒だったとはいえとんでもねぇぜ/
\一般人の概念が裸足で逃げ出しちゃうね/
「一般人だ、一般人! 何なら一般人の中でも雑魚寄りだ!
ああ もう、話戻すぞ。
収束した後のことは話に聞いただけなんだけど、
亡骸は奇譚総研のところに一度持ち帰られて、
簡単な調査をした後に火葬を執り行うことになったらしい。
その場には、少なくとも 荒次郎と天良梓がいたって聞いている。
荒次郎は利根浦との付き合いが長かったから『葬式』には出たいだろうって判断で、
天良梓は異能を探知する目を求められて呼ばれたんだって。
渡貫は亡骸が無事に火葬された後に路地裏で気を失っていたらしい。
冷たくなった狸を切継が自分の家に連れて来て、その流れで休ませたって」
「意識を取り戻した時には、だいぶ取り繕えるようになってた。
アイツはそんな自分を『ひとでなし』つって自嘲するから、
案外取り繕えてしまう自分に思うところがあるかもしれないけど。
少なくとも……俺はそんな風に思ったことは一度もない」
「『ひとでなし』かどうかはともかく、
フツーに心配になったから全力で問い詰めたけどな?
取り繕ってても明らかにいつもとは違ったからな?
却って痛々しい、いい加減に吐き出せ、無駄かどうか勝手に決めんな」
\ユウ兄、当時めっちゃ怒ったようだ/
\優弥さん、心に反骨精神飼ってるなぁ/
\見た目は優等生メガネであるにも関わらず/
「見た目は関係ないだろ……。
だからさ、……最初に言ったけど友達だし悪い奴じゃないよ。
アイツは自分のこと悪い狸とでも思ってるだろうし、自分ではそう言うけど」
……。
…………。