Eno.52 LReaper 再生①:未だ歩いてく、そこに光あれと - はじまりの場所
世界『彩花庭園』、輪廻の庭──開環港。
神々が住まうレイヤーの、円環の女神の居所。
そして、その部下である異世界渡航の神・フェアビンデンや、その他の女神の縁者の拠点となっている場所。
他世界との出入口の役割を果たす港町は、人々のそれとそう変わらない場所だ。
時空の海を臨む灯台に、一人の男がいた。
彼の名はアスター。かつて青き神の呪いを受け、死んでは異世界転移する旅をして、それ以上の苦しみを受けた、悲劇の中心人物。
息子たちに救われ、語るには長すぎる紆余曲折を経て、今は尽きない炎を宿す精霊になっている。
世界の境界が夕陽のように滲んで消える彼方を眺めながら、ぼんやりと、未だ会えない愛する人のことを考えていた。
……ふと気づけば、町全体が騒がしい。それに、階段を駆け上がる誰かの気配。
到着した足音に振り返ると、そこには少女がいた。
彼女はクリスフィア。アスターとマイトの娘、クレフィオルトの双子の弟。
何度も繰り返した世界の中で、英雄として戦い続け、ようやく唯一救われた世界線の彼女。
開環港、レストランバーにて。
V =ディーラー:レストランバーのマスター代理。極めて人相が悪いが、れっきとしたクレフィオルト。
黒かった豊かな髪は真っ白になってしまって、纏う空気も様変わりしていて、
ああ、何よりその瞳。同心円を描いた、深淵に引き込むかのようなその瞳。
瞳の色は魂の色。その瞳が歪んでいるということは、魂が歪んでいるということ。
V =トレイター:家族と共に過ごす大役を任されている、特別なクレフィオルト。神としてより怨霊としての力が強い。
異世界渡航船が、時空の海へと漕ぎ出す。
長い、長い時を経た再会を叶えるために。
神々が住まうレイヤーの、円環の女神の居所。
そして、その部下である異世界渡航の神・フェアビンデンや、その他の女神の縁者の拠点となっている場所。
他世界との出入口の役割を果たす港町は、人々のそれとそう変わらない場所だ。
時空の海を臨む灯台に、一人の男がいた。

アスター
「…………。」
「…………。」
彼の名はアスター。かつて青き神の呪いを受け、死んでは異世界転移する旅をして、それ以上の苦しみを受けた、悲劇の中心人物。
息子たちに救われ、語るには長すぎる紆余曲折を経て、今は尽きない炎を宿す精霊になっている。

アスター
「……あれから、何年経ったのでしょう。
異世界への転移を繰り返していると、時間が分からなくなる。」
「……あれから、何年経ったのでしょう。
異世界への転移を繰り返していると、時間が分からなくなる。」

アスター
「クリスフィアもいる、クレフィオルトもいる。
トーゴだって、再会した時は泣いて喜んでくれました。」
「クリスフィアもいる、クレフィオルトもいる。
トーゴだって、再会した時は泣いて喜んでくれました。」

アスター
「ここでの暮らしに、放浪していた時のような苦しみはない。
けれど、あの頃の温もりには足りない。」
「ここでの暮らしに、放浪していた時のような苦しみはない。
けれど、あの頃の温もりには足りない。」

アスター
「──マイト。私の愛しい妻。
ようやっと取り戻した幸せに、あなただけがいない……」
「──マイト。私の愛しい妻。
ようやっと取り戻した幸せに、あなただけがいない……」
世界の境界が夕陽のように滲んで消える彼方を眺めながら、ぼんやりと、未だ会えない愛する人のことを考えていた。
……ふと気づけば、町全体が騒がしい。それに、階段を駆け上がる誰かの気配。
到着した足音に振り返ると、そこには少女がいた。

クリスフィア
「とうさま!大変だ!」
「とうさま!大変だ!」
彼女はクリスフィア。アスターとマイトの娘、クレフィオルトの双子の弟。
何度も繰り返した世界の中で、英雄として戦い続け、ようやく唯一救われた世界線の彼女。

アスター
「クリスフィア。どうしましたか?」
「クリスフィア。どうしましたか?」

クリスフィア
「かあさまが、かあさまが見つかったって……!」
「かあさまが、かあさまが見つかったって……!」

アスター
「!!……本当ですか?」
「!!……本当ですか?」

クリスフィア
「ああ、ただ……」
「ああ、ただ……」

アスター
「ただ……?」
「ただ……?」
開環港、レストランバーにて。

V=ディーラー
「まさか、最高のニュースと最悪のニュースが
一心同体で飛び込んでくるとはな……」
「まさか、最高のニュースと最悪のニュースが
一心同体で飛び込んでくるとはな……」

V=ディーラー
「これが見つかったお袋殿の姿だ。」
「これが見つかったお袋殿の姿だ。」

アスター
「……!! これは、」
「……!! これは、」
黒かった豊かな髪は真っ白になってしまって、纏う空気も様変わりしていて、
ああ、何よりその瞳。同心円を描いた、深淵に引き込むかのようなその瞳。
瞳の色は魂の色。その瞳が歪んでいるということは、魂が歪んでいるということ。

クリスフィア
「…………そんな。こんな、こと……」
「…………そんな。こんな、こと……」

V=ディーラー
「俺たち家族のことは覚えている、それどころか俺たちの現状まで知っている。おそらく何があったかも全て、だそうだ。」
「俺たち家族のことは覚えている、それどころか俺たちの現状まで知っている。おそらく何があったかも全て、だそうだ。」

V=ディーラー
「お袋殿は、会いたいと言っている。
そして、俺たちとしても会ってもらわなきゃならん。
お袋殿の精神を保っているのは、家族愛だけだ。家族との再会、家族との幸福、それだけを願っている。それ以外はどうでもいい。」
「お袋殿は、会いたいと言っている。
そして、俺たちとしても会ってもらわなきゃならん。
お袋殿の精神を保っているのは、家族愛だけだ。家族との再会、家族との幸福、それだけを願っている。それ以外はどうでもいい。」

V=ディーラー
「オマケにとんでもねえ力を持ってる。
俺たちフェアビンデンなど腕のひと振りで殺せるほど強い、らしい。」
「オマケにとんでもねえ力を持ってる。
俺たちフェアビンデンなど腕のひと振りで殺せるほど強い、らしい。」

アスター
「…………」
「…………」

V=ディーラー
「つまり、敵に回るようなことがあれば、期限を損ねるようなことがあれば……彩花庭園、この世界の存続すら危ぶまれる。」
「つまり、敵に回るようなことがあれば、期限を損ねるようなことがあれば……彩花庭園、この世界の存続すら危ぶまれる。」

V=ディーラー
「それを防ぐために、俺たちは『幸せな家族でいなければならない』んだ。」
「それを防ぐために、俺たちは『幸せな家族でいなければならない』んだ。」

アスター
「それは……重大ですね……」
「それは……重大ですね……」

V=ディーラー
「だが、今すぐとは言わん。心の準備もいるだろうよ。
そのくらいなら待ってくれるはずだ、誤魔化しも聞く。だから、」
「だが、今すぐとは言わん。心の準備もいるだろうよ。
そのくらいなら待ってくれるはずだ、誤魔化しも聞く。だから、」

アスター
「会いに行きます。」
「会いに行きます。」

V=ディーラー
「……いいんだな?」
「……いいんだな?」

アスター
「ええ。どんな姿でも、どんなに変わってしまっても……
マイトは、私の妻です。」
「ええ。どんな姿でも、どんなに変わってしまっても……
マイトは、私の妻です。」

アスター
「彼女がまだ私を愛してくれているのなら、会わない理由がありません。」
「彼女がまだ私を愛してくれているのなら、会わない理由がありません。」

V=ディーラー
「……ハハ、そうかよ。クリスフィアはどうだ?」
「……ハハ、そうかよ。クリスフィアはどうだ?」

クリスフィア
「私も、すぐにでも会いに行きたいっ!
私だってかあさまを愛しているからな!」
「私も、すぐにでも会いに行きたいっ!
私だってかあさまを愛しているからな!」

V=ディーラー
「オーライ、そのように伝えておこう。
準備が必要だ、すぐにとは行かないが……
他のやつらも超特急で動いてくれるだろうよ。」
「オーライ、そのように伝えておこう。
準備が必要だ、すぐにとは行かないが……
他のやつらも超特急で動いてくれるだろうよ。」

V=トレイター
「出発前に、改めて、確認するよ。」
「出発前に、改めて、確認するよ。」

V=トレイター
「まだ航路が不安定だから、簡単な転移じゃ連れて行けない。
俺たちはこれから探査船に乗ってストロールグリーンに行く。」
「まだ航路が不安定だから、簡単な転移じゃ連れて行けない。
俺たちはこれから探査船に乗ってストロールグリーンに行く。」

V=トレイター
「それから、もう聞いたと思うけど……
母さんを彩花庭園に連れてくるのはハイリスクだから、母さんと一緒にいるなら、しばらくここには戻ってこられない。他の俺の仕事が落ち着くまで、いくらかかるかわからない。」
「それから、もう聞いたと思うけど……
母さんを彩花庭園に連れてくるのはハイリスクだから、母さんと一緒にいるなら、しばらくここには戻ってこられない。他の俺の仕事が落ち着くまで、いくらかかるかわからない。」

V=トレイター
「……引き返すなら今だけど、本当に大丈夫?」
「……引き返すなら今だけど、本当に大丈夫?」

アスター
「心配症ですね。……多くのクレフと会えなくなるのは寂しいですが、また会えるのでしょう?
それに、あなただってマイトに会いたいでしょうに。」
「心配症ですね。……多くのクレフと会えなくなるのは寂しいですが、また会えるのでしょう?
それに、あなただってマイトに会いたいでしょうに。」

V=トレイター
「それはそう……」
「それはそう……」

クリスフィア
「私たちが超えてきた地獄ほどじゃあないだろう?信じてるからな!」
「私たちが超えてきた地獄ほどじゃあないだろう?信じてるからな!」
異世界渡航船が、時空の海へと漕ぎ出す。
長い、長い時を経た再会を叶えるために。