製造記録5年目







人間達との地下生活から5年目、1年目は資源不足の解決の為に様々な手を尽くした

不足する資源を解決するための最小限の消費による代替案、資源不足から遠ざけるためのより効率の良い資源作成
役割の再定義と教育の即応性の実施、教育は『問題解決型』へシフトし理論よりも実践重視に。
地上の自然が失われる代わりに、音・香り・触感などを重視した文化が発展していった。

1日目の時、大荒れした会議に参加してからあれから大分変わったものだ…

今もこうして、失われた技術を少しずつ取り戻し、今では皆普通に生活できるようになり
時に話し、議論し、笑いあいもすれば、大切な人を弔い泣く事もある、そんな日常だった

地下生活する事になった人間達は全員、ある程度の教育をされた者達である事は唯一の幸運だ。
しかし、戦争関係者もいた、勿論その者を嫌う者もいたがそれ所ではないのも皆も理解していた
関係性が悪化しないように、別々に施設と役割を与え隔離し、上手く人間関係の安定化を目指している。

そして戦争関係者に戦争の詳細を聞いたが…人を使わずアンデッド兵器を使った戦争という
しかしアンデッドを使う為に人を使い、全てが終わるまで狂気的だった事に気づかない者もいた。
皆が皆戦争の恐ろしさを知った顔だった、確かに核でも使わなければ全てが終わらない戦争なのだろう…。

30分後、我と最初に話した研究者に話しがあると言われ向かっている
その研究者は我と同じ指導者、監視役として立候補し今も担当していた。
研究者の元へ向かい、たどり着いた時は研究者は笑顔である一枚の紙を渡し、その計画書に我も笑みを浮かべた。

その名はAIDLARGE計画《機械竜に地上の地球と文明を復興してもらう計画》
そう、我は我よりも優秀な機械竜を作られない為に、この計画の担当者となろうとしていたのだ

この時我は、勝ったと思った。初めて、居もしない機械竜に我が勝った瞬間だった。
我が恐れていたことが全て無くなったのだ、我は全てを手にしたと思っていた。

そうして奥に秘める愉悦感を奥にしまい、その計画書に同意のサインを書き始め次の計画会議のアナウンスを口にした。

もうそれは、生まれて初めて果実を口にした時の喜びを嚙み締めるかのように。