Eno.489 オズワルド 04 Inner dialogue - はじまりの場所
あれから幾度かの冬が巡って
幾つもの悪魔を討った
まるで焼けた道の上を歩くように
乗せた足が焼ける前に次の足を出すように
答えを求めて 魂を燃やして、燃やして
そうして、僅かばかりわかったことは
理由など、どこにもなかったのだということ
自分がここに生きている理由など
誰かが与えてくれるわかりやすい理由など、ひとつも
人を教え導く勤めなど、他の誰でもできよう
数少ない悪魔狩りも、代わりがいないわけでは決してなく
自分でなくてもいい事ばかりで
自分でなくてはいけない理由などない
私は神ではなく
ただの独り人間なのだから
あぁそれでも
師匠 は死ぬなという
同僚 は生きて帰ってこいという
一緒にいれば嬉しいと言ってくれる人がいる
私が必要だと伝えててくれる人がいる
同好の志がいる
私へ優しさが返ってくるようにと祈ってくれる人が
小さくて、けれど確かに暖かな、縁が、糸が、しがらみが
私をつなぎとめる
燃え散った魂の還る場所を教えるために
心の臓へ楔を打つ
それは幸福な事だと
知っている
理由など、なくとも
しあわせを抱きしめて歩いていけるか
「……はい」
きっと、理由などなくとも
貴女との日々をここへ連れたまま
歩き続けられるでしょうか
「――」
「――、あ、」
「やっとつながりましたか
ウォルター、聞こえます?」
「あぁ~~、えっと?ん、よし」
「おう、問題無い
いや、通信はって意味だが……
通信網の復旧にここまで手こずるとはな
そっちは今までどうだった、ちゃんと休暇取ってたか?」
「……ええと、報告しなければならないことが」
「……もしかしてなんだが」
「はい、悪魔
こちらにいます」
「……やっぱし……?」
「で、ですね、いい加減あれの手口も割れているので
準備も整えましたし
単独で討伐します、以上」
「以上じゃないのよ
お前休暇って何か知ってる???」
「…………」
「…………勤務・仕事などを休むこと
本来は労働日であるが、労働義務が免除される日」
「検索して読み上げるな!!!」
「ウォルター、大体の状況は察していただけていると思いますが
これ以上の封印は私の霊紋が持ちませんし
あれの性質上、他に隠れ蓑に乗り移れる魂を持つ者が居ない
この庭園で仕留めるべきです」
「…………、」
「……お前達が前回仕留めたはずの悪魔
いや、お前と、お前の前任も一度打ち損じた相手だ」
「戦闘力こそ大したこた無いが、あの逃げ足にしぶとさ
何度も俺達の捜査網を掻い潜っては能力を増やし
潜航する狡猾な知性!」
「何より……、
そいつ、今誰の姿を取ってる」
「……関係ありません」
「手が届いたらこいつのこと
ビンタしてやるのにな~~!!」
「あとお前、自分の紋に悪魔封じてたんなら
ちょっと喰われてんだろ!
今どんぐらい回復してんの?!」
「……ええと、まぁ、そこそこ……?」
「そこそこって……」
「…………」
「信用してください、ウォルター
あれは、ここで仕留めます」
「……そうじゃないんだって、馬鹿……」
幾つもの悪魔を討った
まるで焼けた道の上を歩くように
乗せた足が焼ける前に次の足を出すように
答えを求めて 魂を燃やして、燃やして
そうして、僅かばかりわかったことは
理由など、どこにもなかったのだということ
自分がここに生きている理由など
誰かが与えてくれるわかりやすい理由など、ひとつも
人を教え導く勤めなど、他の誰でもできよう
数少ない悪魔狩りも、代わりがいないわけでは決してなく
自分でなくてもいい事ばかりで
自分でなくてはいけない理由などない
私は神ではなく
ただの独り人間なのだから
あぁそれでも
一緒にいれば嬉しいと言ってくれる人がいる
私が必要だと伝えててくれる人がいる
同好の志がいる
私へ優しさが返ってくるようにと祈ってくれる人が
小さくて、けれど確かに暖かな、縁が、糸が、しがらみが
私をつなぎとめる
燃え散った魂の還る場所を教えるために
心の臓へ楔を打つ
それは幸福な事だと
知っている
理由など、なくとも
しあわせを抱きしめて歩いていけるか
「……はい」
きっと、理由などなくとも
貴女との日々をここへ連れたまま
歩き続けられるでしょうか

「――」

「――、あ、」

「やっとつながりましたか
ウォルター、聞こえます?」

「あぁ~~、えっと?ん、よし」

「おう、問題無い
いや、通信はって意味だが……
通信網の復旧にここまで手こずるとはな
そっちは今までどうだった、ちゃんと休暇取ってたか?」

「……ええと、報告しなければならないことが」

「……もしかしてなんだが」

「はい、悪魔
こちらにいます」

「……やっぱし……?」

「で、ですね、いい加減あれの手口も割れているので
準備も整えましたし
単独で討伐します、以上」

「以上じゃないのよ
お前休暇って何か知ってる???」

「…………」

「…………勤務・仕事などを休むこと
本来は労働日であるが、労働義務が免除される日」

「検索して読み上げるな!!!」

「ウォルター、大体の状況は察していただけていると思いますが
これ以上の封印は私の霊紋が持ちませんし
あれの性質上、他に隠れ蓑に乗り移れる魂を持つ者が居ない
この庭園で仕留めるべきです」

「…………、」

「……お前達が前回仕留めたはずの悪魔
いや、お前と、お前の前任も一度打ち損じた相手だ」

「戦闘力こそ大したこた無いが、あの逃げ足にしぶとさ
何度も俺達の捜査網を掻い潜っては能力を増やし
潜航する狡猾な知性!」

「何より……、
そいつ、今誰の姿を取ってる」

「……関係ありません」

「手が届いたらこいつのこと
ビンタしてやるのにな~~!!」

「あとお前、自分の紋に悪魔封じてたんなら
ちょっと喰われてんだろ!
今どんぐらい回復してんの?!」

「……ええと、まぁ、そこそこ……?」

「そこそこって……」

「…………」

「信用してください、ウォルター
あれは、ここで仕留めます」

「……そうじゃないんだって、馬鹿……」