Eno.469 嘘吐きと羽付き 或る音声記録 2 - はじまりの場所
対象:時森美守
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:時森切継、斉田冴
※渡貫荒次郎および利根浦真子の、休暇前の記録である。
「……あ、もう話していい?
今のマコちゃんの状態を調べた限り、
マコちゃんはただの霊体とは何歩か進んだ存在になってそうだよ」
「マコちゃんの話を聞く限り、命を落としてしばらくは殆ど地縛霊だった。
下層の方に潜ってはいたみたいだけど、座標自体は変わってなかったし……。
あ、冴君って重層界の話ってどこまで知ってたっけ?」
\絵のレイヤーみたいな魔力溜まり/
\芽衣ちゃんが完璧にレクチャーしてるぜ/
\アイラの箱庭みたいなのは上層なんでしょ/
\俺らのいる場所が基準で上か下かって話な/
「知ってそうだからそれでいっか。
マコちゃん、あんまり意識無かったみたいだけど、
しばらくの間は魔力溜まりの底にじわじわ沈んでただけで、
前後左右どこにも行ってなかった時期があるみたいなんだよ。
芽衣ちゃんとも意見言い合ったけど、その間はただの地縛霊だったと思う」
「でも、途中から意識がハッキリしたって言っている。
マコちゃんの話からはいつ頃だったか分からなかったけれど、
多分アレって馬鹿狸がウチで療養終えたくらいのタイミングだったんじゃないかな」
\馬鹿狸……/
\オレたちにとってアイツ、無理難題狸だから……/
\でもマジで必要だったんだよなアレ/
\っていうか療養とか知らん 何?/
「あの馬鹿狸って、マコちゃんの日記の事を内緒にしてた時期があるんだよ。
皆もう内容知ってるでしょ? あんなの抱え込むの無理あるって分かるじゃん?
無理あったから、無理が来てウチで魔力回復のための療養を挟んだことがあんの。
その時に、あの馬鹿狸の友達を集めて、腹割って話すように問い詰めさせた。
そうやってマコちゃんの存在が知れたことが切欠で、マコちゃんの意識が戻った」
\補足すると、霊って忘れられると消えるぞ/
\マコは、異能のせいで、だいぶ忘れられたから/
\マ? 天国か地獄に行くのではなく?/
\その前段階で消えちまうんだよ/
\霊も『物語存在』みたいなもの/
\物語は忘れられたら消えるんだよ/
\そうそう無いけどね……/
「それでマコちゃんの予知夢日記の中には、
すっごいヤバい事件のことも書いてあったりして、
うっかり世界まで救っちゃってる。
それで天使っぽい羽なんて生やしてるんじゃないかって芽衣ちゃん言ってたよね」
「元々持ってた力が異能分類になるし、
愛良みたいに異能存在だったりしないかって心配してたけど、
念のため梓ちゃんチェック したら一切引っかかってないみたい」
\え? マコマコの異能残留説見てた?/
\あんなこと、何度もあったら困るよ……/
\奇譚の連中が泣いちゃうぞ……/
「そんで魔力はしっかり持ってる。
ソウゾウ力が豊かな子だから、魔力の操作まではけっこースグできてたよ」
「ってなワケでウチで魔法の適性検査をやることになったってこと。
守ること、助けることに適性がありそうで、
障壁みたいな補助魔法は初めてにしては上手にできてたよ。バテちゃってたけど。
逆に、攻撃魔法は何種類か使わせてみたけど 全部失敗してたかな」
\じゃあミモリと同じってこと?/
「それは分かんないなぁ。
だって、魔法が使えなかった理由って色々あるからさ~。
アタシの場合は、攻撃魔法の適性を投げ捨てちゃってるけど……」
\だから補助相当の自己強化かけて殴る/
「切継は余計なこと言わないで。
マコちゃんは攻撃魔法の発動に失敗したけど、
攻撃したくないのか、攻撃できないのか、まだハッキリしてないんだよ。
アタシの予想だと、条件が整ったらできちゃうような気もするけどなぁ。
だってマコちゃんって、荒次郎のために予言を遺した実績がある。
だから例えば、仲間が危ない目に遭ってるとなったら、攻撃できちゃいそうじゃん?」
「実際、マコちゃんがこっち来る前に会った『隣人さん』の中で、
すっごい仲間意識持ってたのがいるらしいんだけどさ。
手に痕が残るほど抗って『明日』を守った天使なんだってさ」
「それはそれとしてひとつ、相談しなきゃいけないことがあって」
「マコちゃんって、同時にいろんなことやるの苦手みたいなんだよね」
\あー……/
\あぁ……/
\二人して何を頭かかえて?/
「……あのね、冴君。
そこの芽衣ちゃんは、口で詠唱しながら文字で詠唱してモールスで詠唱するの。
そこの切継は、口で詠唱しながら手元の木刀で居合魔法を操るの。
ついでにアタシは、口で詠唱しながら無詠唱で盾出して、必要なら杖で殴るの。ここまでOK?」
「だからさ、……身近な魔法使い、マルチタスク前提ばっかりなんだよ」
\あぁ…………/
\とりあえず俺が前提知識だけ仕込んどくぞ……/
……。
…………。
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:時森切継、斉田冴
※渡貫荒次郎および利根浦真子の、休暇前の記録である。
「……あ、もう話していい?
今のマコちゃんの状態を調べた限り、
マコちゃんはただの霊体とは何歩か進んだ存在になってそうだよ」
「マコちゃんの話を聞く限り、命を落としてしばらくは殆ど地縛霊だった。
下層の方に潜ってはいたみたいだけど、座標自体は変わってなかったし……。
あ、冴君って重層界の話ってどこまで知ってたっけ?」
\絵のレイヤーみたいな魔力溜まり/
\芽衣ちゃんが完璧にレクチャーしてるぜ/
\アイラの箱庭みたいなのは上層なんでしょ/
\俺らのいる場所が基準で上か下かって話な/
「知ってそうだからそれでいっか。
マコちゃん、あんまり意識無かったみたいだけど、
しばらくの間は魔力溜まりの底にじわじわ沈んでただけで、
前後左右どこにも行ってなかった時期があるみたいなんだよ。
芽衣ちゃんとも意見言い合ったけど、その間はただの地縛霊だったと思う」
「でも、途中から意識がハッキリしたって言っている。
マコちゃんの話からはいつ頃だったか分からなかったけれど、
多分アレって馬鹿狸がウチで療養終えたくらいのタイミングだったんじゃないかな」
\馬鹿狸……/
\オレたちにとってアイツ、無理難題狸だから……/
\でもマジで必要だったんだよなアレ/
\っていうか療養とか知らん 何?/
「あの馬鹿狸って、マコちゃんの日記の事を内緒にしてた時期があるんだよ。
皆もう内容知ってるでしょ? あんなの抱え込むの無理あるって分かるじゃん?
無理あったから、無理が来てウチで魔力回復のための療養を挟んだことがあんの。
その時に、あの馬鹿狸の友達を集めて、腹割って話すように問い詰めさせた。
そうやってマコちゃんの存在が知れたことが切欠で、マコちゃんの意識が戻った」
\補足すると、霊って忘れられると消えるぞ/
\マコは、異能のせいで、だいぶ忘れられたから/
\マ? 天国か地獄に行くのではなく?/
\その前段階で消えちまうんだよ/
\霊も『物語存在』みたいなもの/
\物語は忘れられたら消えるんだよ/
\そうそう無いけどね……/
「それでマコちゃんの予知夢日記の中には、
すっごいヤバい事件のことも書いてあったりして、
うっかり世界まで救っちゃってる。
それで天使っぽい羽なんて生やしてるんじゃないかって芽衣ちゃん言ってたよね」
「元々持ってた力が異能分類になるし、
愛良みたいに異能存在だったりしないかって心配してたけど、
念のため
\え? マコマコの異能残留説見てた?/
\あんなこと、何度もあったら困るよ……/
\奇譚の連中が泣いちゃうぞ……/
「そんで魔力はしっかり持ってる。
ソウゾウ力が豊かな子だから、魔力の操作まではけっこースグできてたよ」
「ってなワケでウチで魔法の適性検査をやることになったってこと。
守ること、助けることに適性がありそうで、
障壁みたいな補助魔法は初めてにしては上手にできてたよ。バテちゃってたけど。
逆に、攻撃魔法は何種類か使わせてみたけど 全部失敗してたかな」
\じゃあミモリと同じってこと?/
「それは分かんないなぁ。
だって、魔法が使えなかった理由って色々あるからさ~。
アタシの場合は、攻撃魔法の適性を投げ捨てちゃってるけど……」
\だから補助相当の自己強化かけて殴る/
「切継は余計なこと言わないで。
マコちゃんは攻撃魔法の発動に失敗したけど、
攻撃したくないのか、攻撃できないのか、まだハッキリしてないんだよ。
アタシの予想だと、条件が整ったらできちゃうような気もするけどなぁ。
だってマコちゃんって、荒次郎のために予言を遺した実績がある。
だから例えば、仲間が危ない目に遭ってるとなったら、攻撃できちゃいそうじゃん?」
「実際、マコちゃんがこっち来る前に会った『隣人さん』の中で、
すっごい仲間意識持ってたのがいるらしいんだけどさ。
手に痕が残るほど抗って『明日』を守った天使なんだってさ」
「それはそれとしてひとつ、相談しなきゃいけないことがあって」
「マコちゃんって、同時にいろんなことやるの苦手みたいなんだよね」
\あー……/
\あぁ……/
\二人して何を頭かかえて?/
「……あのね、冴君。
そこの芽衣ちゃんは、口で詠唱しながら文字で詠唱してモールスで詠唱するの。
そこの切継は、口で詠唱しながら手元の木刀で居合魔法を操るの。
ついでにアタシは、口で詠唱しながら無詠唱で盾出して、必要なら杖で殴るの。ここまでOK?」
「だからさ、……身近な魔法使い、マルチタスク前提ばっかりなんだよ」
\あぁ…………/
\とりあえず俺が前提知識だけ仕込んどくぞ……/
……。
…………。