Eno.167 前田ユメ ちょっと遅すぎるプロローグ、あるいは早すぎるエピローグ - はじまりの場所
見渡すと私はベッドの上で、私が作成された時代より160年ほど前の……滅びる前の世界の、一般的な子供部屋のようでした。
次に私の体を見ました。いつものような武装はなく、元々機械のような部分を少なくした人型モデルでしたが、それは紛れもなく人間の肉体でした。
鏡を見なくとも、少女、と呼べるような風貌でした。黒い髪は、化学繊維の髪よりも手触りがよかったです。
ベッドから降りて、直前の記憶を辿ろうとして、ようやく違和感に気付きました。
その直前がわからないのです。
直前の記憶、それも
つまり、どれがどれだか当時の私には判断が出来なかったのです。
どうにか思い出そうとして、頭の割れそうな痛みを堪えながら数えていたところ。
420を超えた辺りでしょうか。私は意識を失いました。
また目を覚ましました。病院と思われる一室で、横には家族と思わしき人物が3人。
男性1人、女性2人。父と母と、姉でした。
姉は、私の製作者に似ていました。そのまま幼くしたような……これは後にわかりましたが、本人でした。
父は、製作者の父でしたが見たことがありました。再試行の中で何度も対峙した為です。
母は、写真の中だけでしたが見たことがありました。私が制作された時代では、既に死んでいたのです。
何故、製作者の家族に私が加わっているのでしょう?
話を聞きました。私は部屋で倒れていたと。
そして会話の流れから、私はユメという名前であること。
当時はユメとしての記憶がなかったもので、適当に話を合わせました。年相応の子供のふりをして。
そうして私はUE-M-0009から、前田ユメということになったのです。
家に帰ってきた時、裏返された写真立てを発見しました。
そうした方がよい、と感じた為、家族の目を盗み写真を見ました。
そこには、父、母、姉と共に……私が守るはずだった存在が写っていました。
何度も再試行して、何度も繰り返し守ろうとして、何度も私が殺しました。
ええ、ええ。私はまた失敗してしまった、ということです。