Eno.52 LReaper  報告②:見つけ出した標識は - はじまりの場所

危険因子の確認──つまり、接触。
多世界が交わる地、クロスワールドであるこの庭園には、様々な世界から多様な存在が訪れる。
その中には、理外の存在、一個人には過ぎたる力を持つ者も珍しくはない。
神であったり、悪魔であったり、はたまた逸脱した人間であったり。
この平和な世界に問題を起こさず滞在しているなら、そこまで危ぶむべきでもないだろうが、やはり警戒はしておきたかった。

『白矢印』の船長、V=サインは思慮深い。
危険地帯に赴く船を率いている以上、判断には慎重さと決断力が同時に求められる。
曖昧でなく、明確に、かつ迅速に状況を切り分ける。
リスクは見落とさず、かつ恐れすぎないように。
そういったことに長けている彼だからこそ、少数精鋭のリーダーとして置かれている。

V=サイン
「さて、次は……向こうか。」

よく見える目……透視、千里眼、読心、他にもいろいろが良く見える目で、
強力な力の波動を確認し、おだやかな草原、森の方へ足を進める。
V=サイン
「(近づけば近づくほどわかる。この存在は、異質だ。)」

V=サイン
「(魂のあり方から異常だ。一人のようにも大勢のようにも見えるのに、色にはゆらぎがないように見える。)」

たどり着いたのは建物……看板を見れば、工房、とある。
扉の前に立ち、改めて中にいる存在を確認する。
V=サイン
「(……動いた。こちらに向かってくる。もう気づいたのか。)」

数歩退き、もう一度対象を確認する。

V=サイン
「(……待て。この、色は)」

V=サイン
「──藤紫?」


扉が、開く。

マイト
「はーい、いらっしゃい!よく来てくれたわね!」

マイト
「どうぞ、中に、」

V=サイン
「…………」

マイト
「…………!!」


白髪の女がサインの前に膝をつき、頬に両手を添えて、見つめる。

マイト
「あなた……クレフィオルトね!?」

マイト
「ああ……よかった、やっと会えた、あたしの、幸せ……!」


女はサインを強く、強く抱き締める。体温が伝わる。
暖かい涙がセーラー服の襟に落ちて、染みになる。
……サインは動けないでいた。

100人いるVerbindenフェアビンデンは、元は一人の少年……クレフィオルト。
非業の運命によって引き裂かれ、苦しみ続ける家族を救うために、
神に魂を売った。そこから彼は神話に組み込まれた。
家族が揃うことは……あと一人、母・マイトを見つけることは、彼の彼らの悲願だった。

V=サイン
「…………」

V=サイン
これ・・は、なんだ?)

V=サイン
「(魂の重複が起こっているのは想定内だ。だが、この歪みはなんだ? 自然な摩耗ではない、意図的に魂を削っている。その使用先が、義足? 指輪もそうだ、これらの魔道具には魂が使われている。藤紫だけでない、色すら奪われた魂の残滓だ、多数の人間の魂が使われている。)」

V=サイン
「(魂だけじゃない、それを取り巻く精神も魔力も異常だ! 人としてあるべき部分が著しく損なわれている、この歪んだ精神はなんだ、心を見通しても読み取れない、おまけに底の見えない魔力、それ以外の力も渦巻いている、腕の一振でオレ一人など殺せてしまえるような──なんだ、なんだこれは、)」

V=サイン
「(この、人型の化け物・・・が、母上だというのか?)」






V=マップ
「さて……調査結果をまとめるか。」

V=マップ
「世界に大きな変動はなし。どうやら今は、グリーンフェスティバル……あれだ、カルツァがNWネクロワークスに所属してた時に滞在していた、あの時間軸らしい。結構前だな。」

V=マップ
「つーか、サイン遅くねえか? 危険因子ったって、こんな平和な世界にいる奴をそんなに警戒するもんかね?」

V=マップ
「さて、船に戻るとするかよ。」


V=サイン
「<──【標識サイン】から【方舟アーク】、【製図家マップ】へ>」

V=マップ
「お、通信が来た。」

V=サイン
「<──今後一時間以内に通信がなければ、
  標識オレ】は死んだものと思え。>」

V=マップ
「……は?」


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マイト
「お茶を淹れるわね、話したいことがたくさんあるの!」

V=サイン
「……うん。」

V=サイン
「(仲間に見せる前に……見極めなくてはならない。)
 (目の前の存在が、制御できない理外の怪物なのか、まだ救うことのできる我らが母上なのか……)」

V=サイン
「(見極めなければ、前にも後にも進めない……!)」









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