Eno.469 嘘吐きと羽付き 或る音声記録 1 - はじまりの場所
対象:渡貫宗四郎
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:斉田優弥・冴
「僕たち一族の特徴について?
それくらい芽衣ちゃんなら知ってると思うけど……」
「僕たちは本来、姿を変えてヒトを騙すことに特化している種のもの。
だから直接戦うとかは本当は得意じゃないし、
簡単に報復を受けてしまうくらいには弱い……ねぇ、冴君、何で渋い顔するのさ」
\は~~~? そこそこ強いくせに/
「絡め手無しだと僕の方がずっと黒星多いでしょ。
とにかく、喜一郎兄ちゃんや荒次郎兄ちゃんみたいなのは珍しい方」
「喜一郎兄ちゃんは、強い生き物に化けるのが上手いから戦えてる、
そして強い生き物の形をとれるなら強い生き物の力だって引き出せる。
喜一郎兄ちゃんは僕たちきょうだいで一番のうk……『力』が好きだから、
そういう化け方をするんだと思う」
\おい、今コイツ『脳筋』って言おうとしたぞ/
\ユウ兄も聞いた? ボクもボクも/
\喜一郎兄ちゃんへの苦労が出てらァ/
「(無視)荒次郎兄ちゃんはその点で言うと、喜一郎兄ちゃん程じゃないみたい。
これは才能っていうよりも、性格の関係だと思う。
荒次郎兄ちゃんは自分をあんまり強いって思ってないし思いたくもない。
だから、喜一郎兄ちゃんの戦い方を真似するのは、物凄く『無理をする』ことになる」
「たぶん、心身共に消耗することになるだろうなぁ……。
ただ、荒次郎兄ちゃんって自分を完全に無力と思ってる方でもないし、
やろうと思えば器用に立ち回れる方でもある。
それで、色々な強化を引き出したりひっこめたりを超高速でやってるんだって」
「……僕からすればそれも十分とんでもないけどね。
例えば助走を付けて殴るような動作でも、助走をつける段階で速度強化、
速度を損ねないように自分の重量の軽量化、必要に応じて動体視力の強化。
そこから踏み込んで殴る一瞬の隙に重量を元に戻しながら腕力の強化、
その自分の腕力に負けないように頑丈さも水増し」
\それがそんなヤバなことなの?/
「身体強化そのものは僕だってやってることだけどね。
こんな風にどんどん切り替えていくっていうのは荒次郎兄ちゃんだけだと思う。
魔力の消費も多いだろうし、こんな戦い方で武器とかは尚更使えない筈……」
\アイツ短剣使えるようになりたいって/
\言ってた言ってた。ボコボコに指導した/
「本当に無茶するなぁ……でも、荒次郎兄ちゃんなら可能性はあるかぁ」
「考えてもみてよ。僕たちのこの姿って、本当の姿じゃない。
いきなり器用に扱えるわけがないんだよ。
僕たちは新しい姿を手に入れた時、その姿で歩く練習から始めないといけない。
その上、荒次郎兄ちゃんは変化に加えて、繊細で流動的な身体強化を使ったりもしてる」
\そんな大変そうな力、よく身に着けた/
\アイツ、『予言』で兄貴に勝つ必要あったし/
\あぁ、あの時か……大変だったよな……/
\他の皆は戦えなくて平気だったり?/
「僕たちって戦う種族じゃなくて、探ったり騙したりする者だから。
探るための五感と、馴染むための観察力と、適量の嘘があればいい筈なんだ」
「……もちろん、探るのも騙すのも、悪いことには使わない前提でね。
僕たちが目指すのは、人間たちにとっての良き隣人さんなんだから」
……。
…………。
記録者:守屋芽衣
ギャラリー:斉田優弥・冴
「僕たち一族の特徴について?
それくらい芽衣ちゃんなら知ってると思うけど……」
「僕たちは本来、姿を変えてヒトを騙すことに特化している種のもの。
だから直接戦うとかは本当は得意じゃないし、
簡単に報復を受けてしまうくらいには弱い……ねぇ、冴君、何で渋い顔するのさ」
\は~~~? そこそこ強いくせに/
「絡め手無しだと僕の方がずっと黒星多いでしょ。
とにかく、喜一郎兄ちゃんや荒次郎兄ちゃんみたいなのは珍しい方」
「喜一郎兄ちゃんは、強い生き物に化けるのが上手いから戦えてる、
そして強い生き物の形をとれるなら強い生き物の力だって引き出せる。
喜一郎兄ちゃんは僕たちきょうだいで一番のうk……『力』が好きだから、
そういう化け方をするんだと思う」
\おい、今コイツ『脳筋』って言おうとしたぞ/
\ユウ兄も聞いた? ボクもボクも/
\喜一郎兄ちゃんへの苦労が出てらァ/
「(無視)荒次郎兄ちゃんはその点で言うと、喜一郎兄ちゃん程じゃないみたい。
これは才能っていうよりも、性格の関係だと思う。
荒次郎兄ちゃんは自分をあんまり強いって思ってないし思いたくもない。
だから、喜一郎兄ちゃんの戦い方を真似するのは、物凄く『無理をする』ことになる」
「たぶん、心身共に消耗することになるだろうなぁ……。
ただ、荒次郎兄ちゃんって自分を完全に無力と思ってる方でもないし、
やろうと思えば器用に立ち回れる方でもある。
それで、色々な強化を引き出したりひっこめたりを超高速でやってるんだって」
「……僕からすればそれも十分とんでもないけどね。
例えば助走を付けて殴るような動作でも、助走をつける段階で速度強化、
速度を損ねないように自分の重量の軽量化、必要に応じて動体視力の強化。
そこから踏み込んで殴る一瞬の隙に重量を元に戻しながら腕力の強化、
その自分の腕力に負けないように頑丈さも水増し」
\それがそんなヤバなことなの?/
「身体強化そのものは僕だってやってることだけどね。
こんな風にどんどん切り替えていくっていうのは荒次郎兄ちゃんだけだと思う。
魔力の消費も多いだろうし、こんな戦い方で武器とかは尚更使えない筈……」
\アイツ短剣使えるようになりたいって/
\言ってた言ってた。ボコボコに指導した/
「本当に無茶するなぁ……でも、荒次郎兄ちゃんなら可能性はあるかぁ」
「考えてもみてよ。僕たちのこの姿って、本当の姿じゃない。
いきなり器用に扱えるわけがないんだよ。
僕たちは新しい姿を手に入れた時、その姿で歩く練習から始めないといけない。
その上、荒次郎兄ちゃんは変化に加えて、繊細で流動的な身体強化を使ったりもしてる」
\そんな大変そうな力、よく身に着けた/
\アイツ、『予言』で兄貴に勝つ必要あったし/
\あぁ、あの時か……大変だったよな……/
\他の皆は戦えなくて平気だったり?/
「僕たちって戦う種族じゃなくて、探ったり騙したりする者だから。
探るための五感と、馴染むための観察力と、適量の嘘があればいい筈なんだ」
「……もちろん、探るのも騙すのも、悪いことには使わない前提でね。
僕たちが目指すのは、人間たちにとっての良き隣人さんなんだから」
……。
…………。