Eno.619 《花石細工師》アラリック  行動記録01 - はじまりの場所

記録残すという概念を知ったので、記す。
確かにこうして手記を残していれば、もしまた記憶がなくなっても
今度はすぐに思い出せるかもしれない。


アラリック
「……そうか。文字は書けるのか、私は」


ここには色々な人々がいる。
それこそ石のように多種多様。
見たこともない姿の人もいる。

石と人は、同じなのだ。


アラリック
「石にも人にも、記憶はある」


概ね楽しいが、まずは同じ過ちをしないように
いつかまた記憶がなくなったときに、すぐに気付けるように、これを記そう


鞄の中の酒は、人に飲ませないほうが良い。

人が倒れる可能性がある。非常によくないので、やるべからず。

倒れてしまった子供には紫水晶の御守りアミュレットを渡した。
マイトという女性は不思議だった。例え私の記憶が戻っても、彼女の世界は遠く果てないものな気がする。彼女は星を映した青玉がぴったりだった。だから贈った。彼女からもらったウインドチャイムは鞄に取り付けてある。
玉髄カルセドニーの名を持つ魔術師の男とも話した。私の技術を褒めてくれた。手が細工の記憶を持っていてくれたことが嬉しかった。
アカシ、彼は庭師らしく、今度花壇で育てた花を見せてもらう約束をした。私もここで育てているが、どれだけ花の感情が違うのか、すごく気になる。


アラリック
「……それから」


猫くん先生。先生はとても人格者で知識人でそれでいて手先も器用で、驚くほど何でも出来る猫だ。
先生は私の前で鶏肉を焼いて見せてくれた。火起こしの手際がよくてまず驚いた。そして、先生の焼いた肉の香りは酒のツマミとして素晴らしいものだった。味も、大変美味だった。もっと食べられる体質であったら、と思った。
他にも色々なことを教えてくれた。今度、どこかに牛の肉が落ちていたら『ろーすとびいふ』を作ってくれるらしい。本当に優しい人だ。必ず、先生のところに牛の肉を持っていこう。
先生には猫の目のような金緑石の御守りを贈った。先日をずっと守っていてあげてほしい。


アラリック
「……猫くん先生のことは、たくさん書いてしまうな」


デュベルという騎士にも出会った。初めて騎士という者を見たが、石たちの記憶の通り、心温かく誇り高き存在なのだなと思った。初対面である私の心身の心配をしてくれた。

アラリック
「……そんな人に気を遣わせてしまったな。申し訳ない限りだ」


彼にも決して、鞄の酒を飲ませてはいけない。
話に興じすぎたせいで、彼に御守りを渡し忘れた。飲んでいる途中に、彼によくあう石がいたことを思い出したが、話しに夢中になりすぎていた。ここに記しておく。
柘榴石、爪大の石。『優しさを彼の者にも』のだ。近日中に御守りにしよう。


アラリック
「……たった数日なのに、『記憶』思い出はこんなにも溢れるのか。」

アラリック
「ならば、私の記憶は一体どこに行ったというのだ


ここは楽しい。とても、刺激的だ。石も沢山いる。人も。
石と言えば――


アラリック
「記録を残す手が止まらない。次はなくしたくないものだ」




私の名前はアラリック


Alaric  Alaric  Alaric  Alaric 

アラリック
「……アラリック」


しっくりくる。だから、私はアラリックだ。








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