Eno.71 ミシバ・シノミヤ 【日記】コハルの力 - はじまりの場所
ミシバ
「……よいしょ。ここにかければいいんだよね?」
「……よいしょ。ここにかければいいんだよね?」
ミシバ
「おおきに、コハルはん! ウチより背の高いあんたのおかげで楽やったで」
「おおきに、コハルはん! ウチより背の高いあんたのおかげで楽やったで」
ミシバ
「ホントに!? どういたしまして!」
「ホントに!? どういたしまして!」
ウチとコハルはんは、花壇に日よけをかける作業をしとった。
基本的に植物はお日様を好むねんけど、この島にはそうでない花もあんねん。
実際、日よけの下にはフロス、メイアイ、レフロスの花がそれぞれ植えてある。
どれも強い日差しに当てたらアカンやつらや。だからこうして日よけをかけとったワケ。
ミシバ
「それにしても……植物って『お日様が大好き!』って
イメージだったんだけど。日差しに直接当てちゃダメな子もいるんだね」
「それにしても……植物って『お日様が大好き!』って
イメージだったんだけど。日差しに直接当てちゃダメな子もいるんだね」

ミシバ
「人間や動物みたいに個性があるからな、植物も。
みんなそれぞれに、ふさわしい育て方があるっちゅーことや」
「人間や動物みたいに個性があるからな、植物も。
みんなそれぞれに、ふさわしい育て方があるっちゅーことや」

ミシバ
「どーや、コハルはん? お花さんたちは何て言っとるんや?」
「どーや、コハルはん? お花さんたちは何て言っとるんや?」
ミシバ
「……うん。良い日陰をもらえて幸せそう!」
「……うん。良い日陰をもらえて幸せそう!」
ミシバ
「ホンマでっか~? ……なんてな、コハルはん! そらよかったわ!」
「ホンマでっか~? ……なんてな、コハルはん! そらよかったわ!」
コハルはん曰く『おれは植物の声が聞ける』らしい。
最初はウチも半信半疑やったけど、この子の力で病気になっている花をウチより早く見つけたこともあった。
他にも近くの植物に呼び掛けて、ちょこっと手助けしてもろたり、
触った物から過去の記憶を読み取れたりと、不思議な力をいくつも持っとった。
それでまた不思議なことが起こったんやけど、それについてはもうちょい後で話すとするで。