Eno.194 お喋りのカフカ 回想 - はじまりの場所

「お前、また客を怒らせたろ。流石に失言が多すぎるぞ」

「失言じゃあない、先に失礼なことを言ってきたのは客のほう。後足で蹴飛ばさなかっただけ感謝してほしいね」

「いちいち躍起になって言い返すなよ。どうせあちらだって口先だけなのに」

「……黙って受け入れたら、我々はずっと“失礼な扱いをしてもいい相手”のままだろ。失礼な相手には相応のもてなしをするさ」

「言っていることに概ね異論はないが、客商売に致命的に向いていなさすぎる……」

「客なんか来なくなって困りやしないだろう、都会の羊でもあるまいに
なんなら我々はつまんない観光客の相手なんて突っぱねてもいいんだ。失礼な相手に媚びる必要もない」

「客との口論で済んでいるうちに何か対策を取ったほうがいいなこれ」


「 」

「 」