Eno.233 Laszlo Ambros エピローグ - はじまりの場所
開発の邪魔になる亜人の集落があるらしい。
アングラな仕事を請け負うのも俺らの役目。武力もそうないらしいし人相手じゃないだけ気軽な仕事だった。
帰路についたら俺達の集落も潰されてた。
戦争が終わり14年。
そろそろ外交だ統治だ再建だ、落ち着いてきた国は国民へ治安を示すために『大きな賊団を討伐した実績』を欲しがったらしい。
今まで贔屓にしていた領主もまとめて手のひら返し。
集落にいた女の子供も健気に抵抗してくれたんだろうな。
本来保護されてもいいところ、赤子の一人まで『賊の一味』としてまとめて処分。
床に臥せってた親父は兵によって連れてかれていた。
『仇討ちなんざ馬鹿馬鹿しい』
『国相手なんて無謀、する必要ないさ。親父さんだってきっとそう言う』
残った僅かな仲間が言った。
いい歳したおっさん達が、下手くそな笑みを浮かべてた。
『お前は小器用だ。お前ひとりの方が生きやすいだろ、ラズロ』
『元気でな』
親父みたいなことを言う。
ひと月後。年明けの俺の誕生日のそのあと。
集落の頭であった親父と、残党の処刑を見送った。
空のきれいな日だった。

「いっしょに死んでくれって」

「言ってくれてもよかったのに。水臭い」
結局、俺はずっと子供だったのだ。
どんなに役に立ちたいと、守りたいと思ったって。
あの人たちにとっては、守るべき子供だった。
大人ってほーんと自分勝手。
残された俺は焼けた里から、親父の隠し財産を持ってそこを離れて。
そこでの物語はそれで終わったのだ。
安心しなよ。
終わったって、
死んだって、
教えてもらったもんは残るんだし。
俺が笑ってる限り、俺の幸せを願ったアンタは、来世まで勝ち組だよ。

「親父の財産はぱーっとかわいーぃお洋服に使ってやったから」

「生涯かけた餞をありがとぉ♡
ビタ一文残してやんねぇぞ、ざまーみろ」