Eno.101 ピーピャ・メルシア 『白百合の悪魔憑き Ⅵ』 - はじまりの場所
ここに来てから随分と経った。
何不自由なく過ごさせてもらっているし、
何故かツッコミ役に仕立て上げられた以外は大して困ったことは起きていない。
物好きな人間が多いし、ここでは私の行いにとやかく言う人はいない。
気まぐれに魔術を披露したり、会話に混ざったりして穏やかな日々を過ごしている。
きっと、「人間らしい」と言われるのだろうな。
新しいところでも、特別苦戦することなく探索を続けられている。
これには皆が強いことに感謝だ。たくさん楽ができて助かっている。
ところでジールへ。
あなたがパフェつって寄越したもの、
パフェじゃねぇーのよ。パフェじゃないつってんのがパフェなのよ。
何寄越してくれてんのよあいつ。
姉貴はたった一本の黒百合に祝福されて生まれてきた。
俺は白百合の他に、アジサイとバラ、クチナシなどの選択肢があったと姉貴が言っていた。
一種類だけ、果ては一輪だけが神託の花壇で咲いていることがあるのかどうか。
毎日花壇に足を運び、手入れをするという体で確認をしていた。
花壇は神聖な場所とされ、村の中でも特別な扱いではあったけれど足を運ぶことは誰でも許されていた。
ただし、部外者だけは花壇の場所を告げず、秘密裡にしていたが。
辺境の地にあり、土着信仰に縋り生きて来た民族が居た。
近隣地域では、俺達のことを『花の民』なんて呼ばれていたりもしたらしい。
その花の民を。土着信仰を。
あまつさえ、村の平穏を。
全て葬り去ったのが、俺の姉貴だった。
たった一輪だけ咲いていた黒百合。
姉貴が観測した中では、花壇に一輪だけ花が咲く、という状況は起きなかった。
黒百合の花言葉。神に選ばれた子。悪魔憑きの噂。村を終焉へと導いた者。
けれど、これらは全て、ただの『偶然』。
それが、真実だ。
悪魔は今日も俺の隣で笑っている。
本当の悪魔憑きは、俺の方なのだろう。
何不自由なく過ごさせてもらっているし、
何故かツッコミ役に仕立て上げられた以外は大して困ったことは起きていない。
物好きな人間が多いし、ここでは私の行いにとやかく言う人はいない。
気まぐれに魔術を披露したり、会話に混ざったりして穏やかな日々を過ごしている。
きっと、「人間らしい」と言われるのだろうな。

ピーピャ
「ぶっちゃけ暴くべき真理がなくってねえ」
「ぶっちゃけ暴くべき真理がなくってねえ」

ピーピャ
「私が暇できるのはいいことだとは分かっているのだけれども。
如何せん暇だわ」
「私が暇できるのはいいことだとは分かっているのだけれども。
如何せん暇だわ」
新しいところでも、特別苦戦することなく探索を続けられている。
これには皆が強いことに感謝だ。たくさん楽ができて助かっている。
ところでジールへ。
あなたがパフェつって寄越したもの、
パフェじゃねぇーのよ。パフェじゃないつってんのがパフェなのよ。
何寄越してくれてんのよあいつ。
姉貴はたった一本の黒百合に祝福されて生まれてきた。
俺は白百合の他に、アジサイとバラ、クチナシなどの選択肢があったと姉貴が言っていた。
一種類だけ、果ては一輪だけが神託の花壇で咲いていることがあるのかどうか。
毎日花壇に足を運び、手入れをするという体で確認をしていた。
花壇は神聖な場所とされ、村の中でも特別な扱いではあったけれど足を運ぶことは誰でも許されていた。
ただし、部外者だけは花壇の場所を告げず、秘密裡にしていたが。

ピーピャ
「人間って、こういう偶然に意味を持たせたがるから嫌になるわ」
「人間って、こういう偶然に意味を持たせたがるから嫌になるわ」

ピーピャ
「偶然よ、偶然。私が生まれたときに、たまたま黒百合だけが咲いていた。
1にも満たないパーセントにたまたま邂逅しただけ」
「偶然よ、偶然。私が生まれたときに、たまたま黒百合だけが咲いていた。
1にも満たないパーセントにたまたま邂逅しただけ」

ピーピャ
「たったそれだけで『神に選ばれし子』って言われるのだから、
たまったものじゃないわ」
「たったそれだけで『神に選ばれし子』って言われるのだから、
たまったものじゃないわ」

ルーク
「……多分、姉貴の言う通りほんとに偶然なんだろうな、
っては思ってっけどさ」
「……多分、姉貴の言う通りほんとに偶然なんだろうな、
っては思ってっけどさ」

ルーク
「その花言葉の通りに事を運んだのも、偶然で済ませんのか?」
「その花言葉の通りに事を運んだのも、偶然で済ませんのか?」

ピーピャ
「えぇ。花言葉が予言だったって村長には言われたけど、
たまたま花言葉が不吉だっただけ」
「えぇ。花言葉が予言だったって村長には言われたけど、
たまたま花言葉が不吉だっただけ」

ピーピャ
「あれは真理を認めず、
真実を歪めて生きた愚か者たちの報いよ」
「あれは真理を認めず、
真実を歪めて生きた愚か者たちの報いよ」

ルーク
「―― あぁ」
「―― あぁ」

ルーク
「本当に。俺の姉貴が、姉貴でよかった」
「本当に。俺の姉貴が、姉貴でよかった」

ルーク
「ありがとう。あの村を、終わらせてくれて」
「ありがとう。あの村を、終わらせてくれて」
辺境の地にあり、土着信仰に縋り生きて来た民族が居た。
近隣地域では、俺達のことを『花の民』なんて呼ばれていたりもしたらしい。
その花の民を。土着信仰を。
あまつさえ、村の平穏を。
全て葬り去ったのが、俺の姉貴だった。

ピーピャ
「ふふ、どういたしまして」
「ふふ、どういたしまして」
たった一輪だけ咲いていた黒百合。
姉貴が観測した中では、花壇に一輪だけ花が咲く、という状況は起きなかった。
黒百合の花言葉。神に選ばれた子。悪魔憑きの噂。村を終焉へと導いた者。

ルーク
「(偶然にしちゃ、できすぎだろ)」
「(偶然にしちゃ、できすぎだろ)」
けれど、これらは全て、ただの『偶然』。
それが、真実だ。
悪魔は今日も俺の隣で笑っている。
本当の悪魔憑きは、俺の方なのだろう。