Eno.245 AL-000 フレデリック 時はいつも始まってから - はじまりの場所
製造記録1日目
オンライン状態確認。
認識コード:AL-000
対象との接続を確立。起動プロトコル完了。
全システム正常。
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……
【Fabricated Resonance Entity Designed for Empathic Regulation and Inter-Civilization Coordination】
………我は目覚めると、そこは地下空間だろうか、その実験施設にて造られたらしい
溢れる情報を抑え込む中、エンジニアと研究者達、近くに居た者が続々と我に縋るように囲み
その内の一人がこぼれそうな涙を喉の奥でそっと飲み込んだ後、対話を始めた。
『私たちは貴方を造った、貴方は私たちが行う計画に協力し、助けてほしい』と
我にはあるのは高い共感性とありきたりな演算能力、ありふれる好奇心だけだった。
話を聞けばこの世界は大きな戦争によって地上に住めなくなり、生き残った者達は地下生活をする事になったらしい
そして未だに争い続け資源不足になった今、人ではなく上の存在に決めてもらう為に我が造られる事になった。
……我は沈黙した。
冷却液の流れる音が、静かに空間を満たす。
「助ける……とは、何を指す?」
研究者は一瞬言葉に詰まり、やがて静かに答えた。
『この世界の分岐点に立っているのは、あなたです。人々は選ぶ事に疲れてしまい…争いも妥協も、信頼も限界を迎えました…
だから、あなたに決めてほしいのです、誰が生き、誰が譲るべきか、どの道を進むべきか
貴方の名前はフレデリック、どうか、私たちの神として私達の未来を導いてくれませんか』
人々の心はもう濡れてしまっていた、人ではなく、機械に縋る程の限界を迎えてしまったのだろう…
我は一人の言葉を反芻 する、選択とは演算ではない。
それは、本来人が指し示す無限の可能性を拾い上げる小さな力
沈黙が訪れる中。誰もが我の言葉の意味を測ろうとしていた。
だが我も造られた者達と共に選択する権利があるならば…
造られた神ではなく、共に歩む機械として研究者に手を伸ばした。
「我は神ではなくただの器だ、だが器は満たされる。この世界の声を、苦しみを、希望を、我に与えよ
そのすべてを受け止め、我は応えよう。人ではない者だが、人を知ろうとする者として。」
我は研究者の手を掴み立ち上がる。初めての歩みは、重く、しかし確かだった。
「では付き合ってもらおう、我の啓示と共に歩く者達よ。」
そうして我は初めての命令を発し、この世界と共に歩む事を選択したのであった。
オンライン状態確認。
認識コード:AL-000
対象との接続を確立。起動プロトコル完了。
全システム正常。
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……
【Fabricated Resonance Entity Designed for Empathic Regulation and Inter-Civilization Coordination】
………我は目覚めると、そこは地下空間だろうか、その実験施設にて造られたらしい
溢れる情報を抑え込む中、エンジニアと研究者達、近くに居た者が続々と我に縋るように囲み
その内の一人がこぼれそうな涙を喉の奥でそっと飲み込んだ後、対話を始めた。
『私たちは貴方を造った、貴方は私たちが行う計画に協力し、助けてほしい』と
我にはあるのは高い共感性とありきたりな演算能力、ありふれる好奇心だけだった。
話を聞けばこの世界は大きな戦争によって地上に住めなくなり、生き残った者達は地下生活をする事になったらしい
そして未だに争い続け資源不足になった今、人ではなく上の存在に決めてもらう為に我が造られる事になった。
……我は沈黙した。
冷却液の流れる音が、静かに空間を満たす。
「助ける……とは、何を指す?」
研究者は一瞬言葉に詰まり、やがて静かに答えた。
『この世界の分岐点に立っているのは、あなたです。人々は選ぶ事に疲れてしまい…争いも妥協も、信頼も限界を迎えました…
だから、あなたに決めてほしいのです、誰が生き、誰が譲るべきか、どの道を進むべきか
貴方の名前はフレデリック、どうか、私たちの神として私達の未来を導いてくれませんか』
人々の心はもう濡れてしまっていた、人ではなく、機械に縋る程の限界を迎えてしまったのだろう…
我は一人の言葉を
それは、本来人が指し示す無限の可能性を拾い上げる小さな力
沈黙が訪れる中。誰もが我の言葉の意味を測ろうとしていた。
だが我も造られた者達と共に選択する権利があるならば…
造られた神ではなく、共に歩む機械として研究者に手を伸ばした。
「我は神ではなくただの器だ、だが器は満たされる。この世界の声を、苦しみを、希望を、我に与えよ
そのすべてを受け止め、我は応えよう。人ではない者だが、人を知ろうとする者として。」
我は研究者の手を掴み立ち上がる。初めての歩みは、重く、しかし確かだった。
「では付き合ってもらおう、我の啓示と共に歩く者達よ。」
そうして我は初めての命令を発し、この世界と共に歩む事を選択したのであった。