Eno.100 刑事とお嬢様 昔の話 鬼 - はじまりの場所
20年以上も前、そこそこに、昔の事
焼けている。
……焼けている。
焼かれている。
ひっそりとあった隠れ里が、容赦なく焼かれている。
大人達が、それでもその地に隠された物を守る使命を果たそうと、侵入者達を迎え撃っている。
戦う力を持たぬ子供達は、隠されていたが。
それが見つかり、焼かれようとしている。
侵入者達が笑う。嗤う。
「これは崇高なる目的のための必要な犠牲である」
と。
「ここに隠された物が、我々の目的に必要なのだから」
と。
「その為に、この地を犠牲とし、この地の命を犠牲とする」
と。
わからない。
わからない。
自分達の命が、「必要な犠牲」であるのならば。
自分達は、こいつらに、殺されるために、嬲り殺される為に、その悦楽の為に生まれたというのか。
家族が殺される事が、必要な事であったと言うのか。
わからない。
必要な犠牲とは何の意味があるのか。
その為に生まれる命に価値があるのか。
わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わかりたく、ない。
銃口が。
自分達に。
向けられて。
乾いた音が、響いた。
悲鳴が聞こえた。
笑っていた連中の、声が。
見知らぬ誰かが。
自分達の前に立っている。
かすかに、甘い香り。
可愛らしい何者かが、堂々と立って侵入者達に笑いかける。
銃弾をこちらに対してではなく、味方に放った侵入者が、呆然とそれを見ていた。
うろたえた声が聞こえる。
何故、あの家の者が、と。
がらり、と声が変わり、雰囲気が変わり。
甘い香りが、強くなった。
侵入者達が、今までの愉悦すら感じさせる表情から絶望にも似た表情に変わり、我先にと逃げ出し始める。
少女のような姿をしたその男が、侵入者達を追いかけていき。
やや、ゆっくりとした足取りで、もう一人、男が現れる。
白いコートを纏ったその男は、やや呆れた表情で駆けだしたそれを眺めていた。
ひょっこり、いつの間にか、足元に、小さな猫。
白いコートを着た男が、少女のような姿をした男の後を追っていく。
足元で、猫がにゃあ、と鳴いた。
にゃあにゃあにゃあ、と猫が男二人に告げていたが、届いていたかどうか。
遠くで、複数の断末魔が響いていた。
燃え盛る里は、やってきた男二人と一匹の猫に救われた。
犠牲は大きくとも、里は何とか生き延びた。
あの連中が言った「必要な犠牲」は、今でも理解できない。
理解したくない。
あの二人と一匹が止めてくれたそれは、必要であったはずがないのだから。
【日記限定使用アイコン著作権】
【少女のような男：Picrewの「ろかめか」様】
【白いコートの男：らぬきの素材保管庫様（キャラクターなんとか機使用）】
焼けている。
……焼けている。
焼かれている。
ひっそりとあった隠れ里が、容赦なく焼かれている。
大人達が、それでもその地に隠された物を守る使命を果たそうと、侵入者達を迎え撃っている。
戦う力を持たぬ子供達は、隠されていたが。
それが見つかり、焼かれようとしている。
侵入者達が笑う。嗤う。
「これは崇高なる目的のための必要な犠牲である」
と。
「ここに隠された物が、我々の目的に必要なのだから」
と。
「その為に、この地を犠牲とし、この地の命を犠牲とする」
と。
わからない。
わからない。
自分達の命が、「必要な犠牲」であるのならば。
自分達は、こいつらに、殺されるために、嬲り殺される為に、その悦楽の為に生まれたというのか。
家族が殺される事が、必要な事であったと言うのか。
わからない。
必要な犠牲とは何の意味があるのか。
その為に生まれる命に価値があるのか。
わからない。
わからない。
わからない。
わからない。
わかりたく、ない。
銃口が。
自分達に。
向けられて。
乾いた音が、響いた。
悲鳴が聞こえた。
笑っていた連中の、声が。
見知らぬ誰かが。
自分達の前に立っている。
かすかに、甘い香り。
可愛らしい少女？
「は～い、だ～め！
悪逆非道は、ハニーが許さないぞっ★」
「は～い、だ～め！
悪逆非道は、ハニーが許さないぞっ★」
可愛らしい何者かが、堂々と立って侵入者達に笑いかける。
銃弾をこちらに対してではなく、味方に放った侵入者が、呆然とそれを見ていた。
うろたえた声が聞こえる。
何故、あの家の者が、と。
可愛らしい少女？
「バレてないと思ったぁ？
ざぁ～んねんっ！！
そっちの目的も丸々、ぜ～んぶお見通しだよっ」
「バレてないと思ったぁ？
ざぁ～んねんっ！！
そっちの目的も丸々、ぜ～んぶお見通しだよっ」
可愛らしい少女？
「……イラついてる最中なんだよ、こっちは
てめぇの息子殺そうとした馬鹿な女を取り逃がしちまってよ
そんな時にこんな馬鹿な行動おこしてくれやがって
楽に死ねると思ってんじゃねぇぞ」
「……イラついてる最中なんだよ、こっちは
てめぇの息子殺そうとした馬鹿な女を取り逃がしちまってよ
そんな時にこんな馬鹿な行動おこしてくれやがって
楽に死ねると思ってんじゃねぇぞ」
がらり、と声が変わり、雰囲気が変わり。
甘い香りが、強くなった。
侵入者達が、今までの愉悦すら感じさせる表情から絶望にも似た表情に変わり、我先にと逃げ出し始める。
可愛らしい少女？
「あ、こら！
逃げてんじゃねぇぞカス共が！！」
「あ、こら！
逃げてんじゃねぇぞカス共が！！」
可愛らしい少女？
「アハルディア！てめぇもさっさと来い！
あいつらの親玉毎、まとめて叩き潰すぞ！！」
「アハルディア！てめぇもさっさと来い！
あいつらの親玉毎、まとめて叩き潰すぞ！！」
少女のような姿をしたその男が、侵入者達を追いかけていき。
やや、ゆっくりとした足取りで、もう一人、男が現れる。
白いコートを纏ったその男は、やや呆れた表情で駆けだしたそれを眺めていた。
白いコートの男
「幼子が嬲られようとしているのは、私も気に食わんがね
お前のは八つ当たりであろうがよ、蜂蜜 ……と言うても、聞かんか」
「幼子が嬲られようとしているのは、私も気に食わんがね
お前のは八つ当たりであろうがよ、
白いコートの男
「怖がらせてすまないね、少年
この場をなんとかしてくるから、もう少し、頑張ってこらえていておくれ」
「怖がらせてすまないね、少年
この場をなんとかしてくるから、もう少し、頑張ってこらえていておくれ」
白いコートの男
「猫、この子達の傍にいてあげてくれるか」
「猫、この子達の傍にいてあげてくれるか」
ﾈｺﾁｬﾝ
「別にいいですけど
猫のサポート無くて平気ですか？」
「別にいいですけど
猫のサポート無くて平気ですか？」
ひょっこり、いつの間にか、足元に、小さな猫。
白いコートの男
「なくともなんとかするしかあるまい
蜂蜜 が離れすぎると、私が詠唱中にがら空きになる
私があれの傍に居た方が戦いやすい」
「なくともなんとかするしかあるまい
私があれの傍に居た方が戦いやすい」
白いコートの男
「なるべく、速く終わらせるよ
機嫌悪いあれに近づけるのは、私くらいだろうよ」
「なるべく、速く終わらせるよ
機嫌悪いあれに近づけるのは、私くらいだろうよ」
ﾈｺﾁｬﾝ
「それは本当にそう
じゃ、任せたのですよ」
「それは本当にそう
じゃ、任せたのですよ」
白いコートを着た男が、少女のような姿をした男の後を追っていく。
足元で、猫がにゃあ、と鳴いた。
ﾈｺﾁｬﾝ
「鬼の子よ、安心するのです
遺跡を狙うあの企業がこの隠れ里を狙ったと聞いた時は焦りましたが
これ以上の犠牲は出させません
あの二人はとっても強いのですよ」
「鬼の子よ、安心するのです
遺跡を狙うあの企業がこの隠れ里を狙ったと聞いた時は焦りましたが
これ以上の犠牲は出させません
あの二人はとっても強いのですよ」
ﾈｺﾁｬﾝ
「……むしろ、やりすぎねーかの方が心配ですね
跡形なくやりかねねぇのです」
「……むしろ、やりすぎねーかの方が心配ですね
跡形なくやりかねねぇのです」
ﾈｺﾁｬﾝ
「野郎共ー！！
せめて一人は残しておけです！
証言取ってしりょーかの連中にも仕事ぶん投げるのですよ！！」
「野郎共ー！！
せめて一人は残しておけです！
証言取ってしりょーかの連中にも仕事ぶん投げるのですよ！！」
にゃあにゃあにゃあ、と猫が男二人に告げていたが、届いていたかどうか。
遠くで、複数の断末魔が響いていた。
燃え盛る里は、やってきた男二人と一匹の猫に救われた。
犠牲は大きくとも、里は何とか生き延びた。
あの連中が言った「必要な犠牲」は、今でも理解できない。
理解したくない。
あの二人と一匹が止めてくれたそれは、必要であったはずがないのだから。
【日記限定使用アイコン著作権】
【少女のような男：Picrewの「ろかめか」様】
【白いコートの男：らぬきの素材保管庫様（キャラクターなんとか機使用）】