Eno.504 幸運の死神  とある死神の今の話 - はじまりの場所

──それから、百年ほどの時が過ぎたでしょうか。
いえ、それは体感で実際にはもう少し短い間でしょう。


死にゆく者にせめてもの安らぎを、と続けていた死神の仕事ですが、
いつも上手く行く物ではありませんでした。

他にぶつける所も無く、死神ベルに恨みをぶつける者。
死神を排除すれば死を避けられるものだと疑わず、争いになった事もあります。



──おじさんは、どれぐらい続けて来たんだろう。どれぐらい掛かったのだろう。

あんなに飄々として"フレンドリー"だったおじさんが、
自分が拾ってきた子供への責任も投げ出して、命を投げ出してでも辞めようと思うまでには、どれぐらい。




──



さて、どれぐらいサボっていると"お上"は
これは"死神"を続ける気が無いと判断するのかは分かりませんが。
このいのちが保つ間を使ってこれまで出来なかった事、
やりたかった事を全部やってやろうとやってきたお祭り騒ぎ。

美味しいものを食べたり、
ちゃんとした友達を作ったり、『死ぬのなら、せめて』では無く
『死なせたくない』と考える様になったり。
人を好きになってみたり。



──今思い付くやりたい事は、後一つ。

新しい事も教えて貰えるし、おかわりだって大歓迎なので。
終わるのがいつになるかは分かりませんけどね。








<< 戻る << 各種行動画面に戻る